[特集]

Q&Aで学ぶデジタル放送(4):デジタル放送を実現する技術は?

2008/03/18
(火)
亀山 渉

このコーナーでは、最新のICT(情報通信技術)のキーワードをQ&A形式でわかりやすく解説していきます。
2003年12月から開始された地上デジタル放送により、BSデジタル放送から、CSデジタル、CS110°デジタル放送、地上デジタル放送に至るまで、さまざまなデジタル放送が利用でき、多彩な放送を受信できるようになりました。ここでは、これらのデジタル放送と、今までのアナログ放送やインターネットとの相違点から、デジタル放送時代の法制度までを解説していきます。
今回は、デジタル放送を実現させた圧縮技術MPEGについて説明します。

Q&Aで学ぶ基礎技術:デジタル放送編(4)
Q4

Q4:デジタル放送を実現する技術は?

デジタル放送を実現するための重要なキー・テクノロジーは何ですか?

A4

≪1≫デジタル放送を実現させた圧縮技術「MPEG」

デジタル放送を実現するうえで最大の問題点は、「膨大な動画像と音声情報をどのようにして圧縮するか」でした。

[1]大量の情報量を伝送できるネットワークがない

(1)現在、日本の一般家庭に広く普及しているSDTV(Standard Definition Television、標準的なテレビ動画像方式)は、NTSC(National Television System Committee、アメリカで規格され日本でも採用されている現行のカラー・テレビ方式)と呼ばれる方式です。

この方式の場合、原信号をデジタル換算すると124Mbps(bps:bit per second、1秒間に送られるビット数。Mbpsは、Mega bit per second、1秒間に100万ビット送れる伝送速度)となります。

(2)また、HDTV(あるいはハイビジョン)方式では、746Mbpsもの情報量になります。

(3)一方、音声は、CD品質の2チャンネル・ステレオ音声では約1.5Mbpsとなり、これもかなりの情報量になります。

このような、いろいろな大量の情報を経済的に伝送できる有線のネットワークは、現在ではまだ存在しません。まして、限られた資源である電波を、この伝送のみに使用することはできないのです。

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