[特集]

Q&Aで学ぶデジタル放送(9):「放送」と「配信」の違いは?

2008/04/08
(火)
亀山 渉

このコーナーでは、最新のICT(情報通信技術)のキーワードをQ&A形式でわかりやすく解説していきます。
2003年12月から開始された地上デジタル放送により、BSデジタル放送から、CSデジタル、CS110°デジタル放送、地上デジタル放送に至るまで、さまざまなデジタル放送が利用でき、多彩な放送を受信できるようになりました。ここでは、これらのデジタル放送と、今までのアナログ放送やインターネットとの相違点から、デジタル放送時代の法制度までを解説していきます。
今回は、「放送」と「配信」の違いについて説明します。

Q&Aで学ぶ基礎技術:デジタル放送編(9)
Q9

Q9:「放送」と「配信」の違いは?

インターネット放送とデジタル放送は、似たもののように思えますが、どこが違うのでしょうか?また、デジタル放送とブロードバンド(高速大容量)・ネットワークとの関係はどのようなものですか?

A9

≪1≫コンテンツ配信サービスのさまざまな形態

基本的にそれほど意味が違うわけではありませんが、「放送」と言った場合は「放送サービス」を意味することが多く、「配信」と言った場合は「コンテンツを配る」ことを意味することが多いようです。放送サービスは、コンテンツ配信サービスの一形態ですが、すべての種類のコンテンツ配信サービスが放送サービスであるとは限りません。

一般的に、放送と言う場合には、1対多、つまり、単一の情報発信者(例:テレビ局)から多数(不特定多数:例えば家庭の受信者)の情報受信者にコンテンツを配信することを意味しています。これに対して、コンテンツ配信の形態としては、1対多(特定多数)ももちろんありますが、1対1の形態もあります(図1-9)。例えば、放送局間同士のコンテンツ配信も1対1の形態となり、通信におけるコンテンツ配信の形態とまったく同様です。

このような意味的な違いがあるために、用語としては、その場その場で使い分けられています。


図1-9 放送と通信のコンテンツ配信方法の違い(クリックで拡大)

※この「Q&Aで学ぶ基礎技術:デジタル放送編」は、著者の承諾を得て、好評発売中の「改訂版 デジタル放送教科書(上)」の第1章に最新情報を加えて一部修正し、転載したものです。ご了承ください。

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