[スペシャルインタビュー]

BEAシステムズのNGN/SDP戦略を聞く(1):BEAのNGN戦略製品「BEA WebLogic Communications Platform」とは?

2008/05/21
(水)
SmartGridニューズレター編集部

NGNの商用サービスが2008年3月末より、日本でも開始されましたが、本格的なサービスはこれからという状況です。そのNGNで提供されるサービス開発の要となるのが、SDP(サービス提供基盤)です。そこで、ITインフラのソフトウェアベンダーとして知られ、NGNでもSDP製品群「BEA WebLogic Communications Platform」を、通信事業者を中心に広く展開し、IMS分野のリーディング・カンパニーとして注目されている日本BEAシステムズのNGN戦略や、通信業界に大きなシェアを誇るソリューションとその特徴などについて、同社ソリューション営業部 WLCPビジネスディベロップメント マネージャの高山義泉(たかやま よしもと)氏にうかがいました。
第1回は、BEAのNGN戦略や製品開発と標準化活動の関係などについてお聞きしました。(文中敬称略)

≪1≫BEAとNGN対応製品について

■BEA社設立の背景と得意分野について教えてください。

高山義泉氏(日本BEAシステムズ WLCPビジネスディベロップメント マネージャ)
高山義泉氏
(日本BEAシステムズ
WLCPビジネスディベロップメント
マネージャ)

高山 BEAは1995年、ビル・コールマン(Bill Coleman)、エド・スコット(Edward W Scott, Jr.)、アルフレッド・チュアング(Alfred Chuang)の3人によって設立されました。社名の「BEA」は、この3人の頭文字から取られています。

当社は、金融業界や通信業界などシステムに高い信頼性を要求する業界に強い会社です。よりよいサービスを提供するため、企業や製品のM&Aも積極的に進めてきました。企業の基幹的電信送金、情報通信といった複雑なトランザクション処理システムを監視・管理するミドルウェア製品「Tuxedo」(旧ノベル社製品。現「BEA Tuxedo」)や、プラットフォームに依存しないオープン・スタンダードな技術Java/J2EE(※)に対応したWebアプリケーション・サーバ「WebLogic Server」(旧ウェブロジック社「Tengah」)などの製品がその一例です。

通信業界においては、一般的な電話サービスではなく、課金の管理、電話料金の管理、ユーザー加入者の管理などシステムの裏方的な役割、例えばOSSやBSS(※)の管理系で、当社の製品はよく使われてきました。一般的には、電話システムというと、閉鎖的な、独自性の強い技術で提供されてきましたが、その裏方のシステムは、インターネットを経由して利用でき、技術的にも比較的オープンです。例えば、Webサイトのページから、自分(ユーザー)の携帯電話の契約内容とか、その月の料金明細を見ることができるというようなサービスです。

このように、当社は通信業界におけるビジネスが昔から強く、現在は、通信業界からの売り上げが、他の業種に比べると多い状況です。

Java:オブジェクト指向プログラミング言語「Java」と、Javaのプログラムの実行環境および開発環境。後者は、Javaプラットフォームとも呼ばれる
J2EE:Java 2 Enterprise Edition。Java 2(Java第2版)に、企業の業務システムや電子商取引などの目的でサーバ上で利用するために必要なAPIなどの機能を加えたセット
OSS:Operation Support System、通信事業者/ISPの運用・管理システム
BSS:Business Support System、通信事業/ISPのシステムにおいてビジネス・サポート機能(課金機能等)をもつシステムの総称
API:Application Programming Interface、アプリケーション開発用のソフトウェアのインタフェース

■御社のNGN対応製品にはどのようなものがあるでしょうか。

高山 当社のNGN対応製品群は、「BEA WebLogic Communications Platform」(以下WLCP)と呼ばれています。

WLCPは、基本的には図1に示すように、

(1)「BEA WebLogic SIP Server」(以下「SIP Server」)
(2)「BEA WebLogic Network Gatekeeper」(以下「Network Gatekeeper」)
(3)「BEA WebLogic Conference Server」(以下「Conference Server」)

の3の製品から構成されています。日本では「Conference Server」を除いた(1)と(2)の2つの製品を提供しています。

電話会議のアプリケーションである「Conference Server」を日本で提供しない理由は、日本では、当社のパートナー企業が同様のサービスを当社のミドルウェアの上に作っているため、ビジネス上競合するからです。


図1 IMSでサービスを提供するWLCPの構成図(クリックで拡大)

※「Conference Server」は日本未提供

■WLCPのそれぞれの製品はどのような特徴を持っていますか。説明してください。

高山 「SIP Server」は、NGNという新しいネットワーク上で、キャリアが新しいサービスをエンドユーザーに提供する場合の、IMS上のアプリケーションの実行環境であり、また開発環境という位置づけになります。さらに、「SIP Server」は、キャリア自身がアプリケーションを新しく構築していく機能も提供しています。

一方、サードパーティがキャリアのサービスを利用できるようにするのが「Network Gatekeeper」です。

例えばサードパーティがNTTの電話会議システムを利用した新しいサービスをエンドユーザーに提供しようとする場合、サービスの開発やサービス提供後の運営・管理の機能を「Network Gatekeeper」が提供します。

■今、全世界のキャリアの中で、BEA製品の占めている割合はどれくらいでしょうか。

高山 通信業界で、BEAの製品を使っているキャリアは、ほとんど100%に近いと思います。また、国内では、当社の製品を使っていない会社はありえません。世界的にみると、先進国だけでみても100社は使ってもらっています。

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