[スペシャルインタビュー]

NTTファシリティーズのスマートグリッド戦略を聞く!(1):NTTファシリティーズのスマートグリッドへの取り組み

2010/04/16
(金)
SmartGridニューズレター編集部

連結売上10兆4000億円を超え、従業員数約20万人(2009年3月)を誇るNTTグループは、全国の通信ビルをはじめ、オフィスビル、研究所、病院等、数多くの建物を所有している。これらの建物や全国20万システムもの電力、空調などの設備を合わせて、日本最大とも言われるファシリティを管理・運用している「(株)NTTファシリティーズ」が、いよいよ電力の効率的利用やクリーンエネルギーを目指して、本格的にスマートグリッドの取組みを開始した。ここでは、(株)NTTファシリティーズの代表取締役副社長 池辺裕昭(いけべひろあき)氏に、同社のスマートグリッドの取組みの現状から、今後の展開をお聞きした(文中敬称略)。今回(第1回)は、NTTファシリティーズのプロフィールと具体的な事業内容、スマートグリッドの取組みなどをお話いただいた(文中敬称略)。

NTTファシリティーズのスマートグリッド戦略を聞く!(1)

≪1≫NTTファシリティーズ:NTTグループのインフラを支える重要な役割

■ NTTファシリティーズは、NTTグループの中でどのような位置づけの会社なのでしょうか、簡単にご紹介いただけますか。

池辺裕昭氏(NTTファシリティーズ 代表取締役副社長)
池辺裕昭氏
(NTTファシリティーズ
 代表取締役副社長)

池辺 図1にNTTファシリティーズのNTTグループ内の位置づけを、図2にカンパニー・プロフィールを示しますので、これに基づいて簡単にご紹介しましょう。

図1に示すように、NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズ、NTTドコモ、NTTデータなど、NTTグループの各社がお客様に情報通信サービスを提供するために、通信ビルやデータセンターなどにはいろいろな通信装置を設置します。NTTファシリティーズはそのような様々な設備が信頼性高く動作するように建物・設備などのファシリティについて、コンサルティングや設計から、保守・維持管理までの「統合ファシリティサービス」を提供する会社です。

例えば、交換機やサーバ、ルータなどを稼働させるには、建物などの不動産をはじめ電源や空調設備といった、ベースとなるファシリティのサービスが必要となります。こういったサービスをNTTグループの各事業会社に提供しています。すなわち、NTTグループにおいてはインフラを支える会社という性格なのです。

会社の規模としては、社員が5,500名、売上が約2,400億円で、100%NTTの出資で運営されています。


図1 NTTファシリティーズのNTTグループ内の位置づけ(クリックで拡大)

図1 NTTファシリティーズのNTTグループ内の位置づけ


図2 NTTファシリティーズのカンパニー・プロフィール(クリックで拡大)

図2 NTTファシリティーズのカンパニー・プロフィール


≪2≫ビジネス・フィールドは、「IT」と「エネルギー」と「建築」

■ NTTファシリティーズの具体的な事業内容は?

池辺裕昭氏(NTTファシリティーズ 代表取締役副社長)
池辺裕昭氏
(NTTファシリティーズ
 代表取締役副社長)

池辺 図2の中心に、「IT」と「エネルギー」と「建築」という3つの輪を示していますが、この3つの技術ジャンルを組み合わせた部分が、私たち(NTTファシリティーズ)のビジネス・フィールドです。当社では「GreenITy Building」、「メガソーラー」、「Fデータセンター」、「100年BCP」(Business Continuity Planning、事業継続計画)、「高機能ビルマネジメント」といったコアソリューションを展開しており、それらの一部を写真で紹介しております。「GreenITy Building」についてはITと運用技術を組み合わせることで従来の建物と比較してCO2排出量が40%少ない環境に優しい建物を目指しており、また、「メガソーラー」については、太陽光発電システム構築を約半世紀にわたって取組み、2008年度までに400システム、計10MWを構築してきた実績があります。「Fデータセンター」については、日本のデータセンターの約30%の設計・運用に関わってきた実績がありますが、高信頼・高効率をキーワードに空調システムや電源システムの研究にも携わっています。また、私たちは、100年以上にわたって電気通信を途絶えさせないよう、様々なファシリティリスクから通信施設を守ってきた実績があり、「100年BCP」とうたい、事業継続をトータルでサポートするサービスを展開しています。加えて、設備の発展に合わせてビルの維持管理の重要性も高まっていることから、「高機能ビルマネジメント」ソリューションを展開し、データセンター、金融施設、大規模オフィスビルなどの高機能ビルの維持管理からライフサイクルコストの管理までを24時間365日体制でフルサポートしています。

NTTファシリティーズが保守・維持管理を行っている建物はおよそ2万2千棟になります。

■ すごい数ですね。

池辺裕昭氏(NTTファシリティーズ 代表取締役副社長)
池辺裕昭氏
(NTTファシリティーズ
 代表取締役副社長)

池辺 その内訳としては、通信ビルから研究所、病院などもあります。私たちはそういった施設に対してプランニング、設計・監理、工事、保守、オペレーションを行っています。停電の時に「通信ができません」ということはあってはならず、停電があってもきちんと通信ができるように、ファシリティの仕組みを構築しているわけです。

さらに、最近のIT機器はものすごい熱を出しますので、それを冷やさなければいけない空調設備なども建物の中にたくさん設置されています。NTTファシリティーズは、日本中のNTTグループの建物・設備をマネジメントしているのです。

■ これほどの施設をマネジメントするには、大変な人数の社員が担当しているのではないでしょうか。

池辺 そうですね。これらの設備を管理していくうえでは、人数だけではなく様々な資格をもった人財を必要とします。例えば、一級建築士707名をはじめ、二種・三種電気主任技術者1,801名、一種電気工事士1,959名、三種冷凍機械主任者799名、消防設備士(甲・乙種)786名、ファシリティマネジャー680名等の他、危険物取扱者(甲・乙・丙種)2,984名、システムアドミニストレータ232名、基本情報処理技術者52名等々かなりの有資格者がいます。複数の資格を有している社員も多数おり、建物から、エネルギー関係に至るまで、技術力でソリューションを提供する会社だということです。社員こそ会社の財産、そういう意味で当社では「人財」としています。


≪3≫NTTファシリティーズのスマートグリッドへの取組み

■ ところで御社のスマートグリッドの取組みはいかがでしょうか。

池辺 ご存知のように、スマートグリッドとは、「エネルギーと情報(IT)を組み合わせて上手く需給調整を行う賢い電力網」と定義がされています。図3に、スマートグリッドの基本的なイメージを示しますが、図4に、私の頭の中での整理したスマートグリッドのイメージ、すなわちITによるエネルギーの最適制御のイメージを示します。


図3 スマートグリッドの基本的なイメージ(クリックで拡大)

図3 スマートグリッドの基本的なイメージ


図4 ITによるエネルギーの最適制御のイメージ(クリックで拡大)

図4 ITによるエネルギーの最適制御のイメージ


■ 図4は、なかなかユニークな絵ですね。

池辺 ええ。人間(IT)が自転車(系統電力と分散電源)に乗った漫画となっていますが、スマートグリッドとは、一言で言うと「ITによるエネルギーの最適制御」ということになるのです。自転車に乗っている人(IT)が、分散電源(太陽光発電や風力発電等)と系統電力(火力発電や原子力発電等)をうまく組み合わせて、エネルギー需要に合わせてコントロールするのです。もし分散電源が欠けていると車輪が欠け、自転車はガタガタと走りますが、これを分散電源と関連付けてうまくITでコントロールすると、スムーズにすっと自転車が走れますというイメージです。

■ 図4の車輪の部分、つまり分散電源には○や△で表された部分がありますが。

池辺 これは分散電源にはいろいろな種類のものがあることを示しています。例えば、太陽光発電、風力発電等があります。これらを系統電力(図4の自転車の前輪)に適切に組み合わせて、ITで最適に制御し、スムーズにエネルギーが供給できるようにするのです。このようなエネルギーを最適化させるということは、同時に全体でエネルギー量をミニマイズ(最小化)でき、地球環境問題に対応するうえでも重要なことなのです。

バックナンバー

<NTTファシリティーズのスマートグリッド戦略を聞く!>

第1回:NTTファシリティーズのスマートグリッドへの取り組み

第2回:重要なエネルギー利用状況の「見える化」

第3回(最終回):世界27種類の太陽電池パネルを実証実験


プロフィール

池辺裕昭(いけべひろあき)氏(NEDO主任研究員)

池辺裕昭(いけべひろあき)氏

現職:
(株)NTTファシリティーズ 代表取締役副社長

【略歴】
1973年  九州大学 工学部 電気工学科 卒業
 同年  日本電信電話公社入社
1985年  NTTネットワーク事業本部 担当部長
1992年  NTTファシリティーズ サービス推進部 担当部長
1997年  NTTファシリティーズ 首都圏支店 副支店長
2001年  NTTファシリティーズ 取締役 営業本部副本部長
     データセンター環境構築本部長
     雷害リスク低減コンソーシアム幹事長
2004年  NTTファシリティーズ 常務取締役 営業本部副本部長
2006年  NTTファシリティーズ 常務取締役 事業開発部長
2009年  NTTファシリティーズ 代表取締役副社長

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