[展示会]

ITU-TがIPTV新標準「LIME」の相互接続試験を実施へ! =第2回『Interop Event on IPTV』をシンガポールで開催(9/23〜)=

2010/08/30
(月)
SmartGridニューズレター編集部

ITU-Tが策定した、IPTVサービス向けの新国際標準「LIME」(ライム。マルチメディア記述言語)がいよいよ実用期を迎えたところから、世界の放送事業者、通信事業者、家電メーカーなどから大きな注目を集めている。すでにスイス・ジュネーブのITU本部で第1回の『Interop Event on IPTV』の相互接続試験が行われ、大きな成功をおさめた。ここでは、『Interop Event on IPTV』のイベントの内容と、注目される第2回のイベントの案内を紹介する。LIMEは、現在話題となっているHTML5との関連性も高いところから、HTML5のサブセットとしても検討されており、急速に「LIME」への関心が高まっている。

〔1〕成功した第1回『Interop Event on IPTV』

国際的に放送と通信の融合が進展し具体的なサービスが次々に登場している中で、国際標準機関のITU-Tでは、新しいIPTVサービス向けの汎用的なマルチメディア記述言語規格「LIME」(ライム)が策定され、いよいよその実用化と普及に向けた本格的な活動が開始された。その歴史的第1回の『Interop Event on IPTV』イベント(2010年7月20〜23日、スイス・ジュネーブ。写真1参照)に続いて、第2回目の『Interop Event on IPTV』がシンガポール(2010年9月23〜27日)で開催されることになった。

写真1 第1回『Interop Event on IPTV』の会場のデモ風景(スイス・ジュネーブのITU本部ビル)(クリックで拡大)

写真1 第1回『Interop Event on IPTV』の会場のデモ風景(スイス・ジュネーブのITU本部ビル)


この新規格「LIME」は、

<H.762勧告>
Lightweight interactive multimedia framework(LIME)for IPTV services
(IPTVサービスのための軽量なインタラクティブ・マルチメディア・フレームワーク)

すなわち、「マルチメディア記述言語」規格として策定(2009年12月)され、いよいよその実用期を迎えている。

この規格は、IPTVだけでなく、欧州のDVB方式さらに米国のATSC方式、日本のISDB方式などのデジタル放送方式にとらわれなくハイブリッド(IPTV+デジタル放送)に使用できる可能性をもっている。

新規格「LIME」は、日本のデジタル放送方式で普及している、BML(Broadcast Markup Language、放送用マークアップ言語)という独自のマルチメディア符号化規格を参考に拡張しながら、IPTV用標準としてDVB方式、ATSC方式、ISDB方式など、デジタル放送方式に依存しない汎用的で国際的な共通仕様として策定された。LIMEをはじめ、ITU-TのIPTV関連の規格は、世界各国・地域から大きな注目と期待を集め、今回のような『Interop Event on IPTV』(IPTVインターオペラビリティ イベント)が実施された。この反響が大きかったところから、第2回(シンガポール)、第3回(インド)のイベントが予定されている。

〔2〕『Interop Event on IPTV』の試験内容

『Interop Event on IPTV』では、具体的には、次に示す(1)〜(7)のようなITU-T 勧告等に準拠するIPTV システム(製品・サービス)の相互接続性検証実験と、関連製品のデモンストレーションを行い、IPTV関連のITU-T勧告の実効性を宣伝して普及推進を図るため、「Interop Event on IPTV」を、各地で開催していく。

(1)H.701(コンテンツ配信エラー訂正)
(2)H.721(IPTV端末:基本モデル)
(3)H.740(イベント処理)
(4)H.750(メタデータ)
(5)H.761(Ginga-NCL)
(6)H.762(LIME)
(7)H.770(サービス発見/選択)

このイベントは、ITU-T内のIPTVをテーマに関する専門合同会合「IPTV-GSI」のもとに実施されるイベントとして位置づけられている。

〔3〕第2回はシンガポールで9月23日から開催

第1回「Interop Event on IPTV」は、2010年7月20〜23日の4日間ITU本部のあるスイス・ジュネーブで開催され、米国シスコ(Cisco Systems)、韓国TV Storm、ブラジルのPUC Rio(リオ・デ・ジャネイロにあるポンティフィカル・カトリック大学)をはじめ日本から、住友電工、OKI、NEC、三菱電機、NTT等が参加。また、パブリック・セッションには約200名(WHO、WIPO、EBU等からも参加)が参加し、大きな成功をおさめた。

第2回の「Interop Event on IPTV」イベントは、シンガポールの研究拠点「フュージョンポリス」で、下記の通り行われる。ITU-Tでは、多くの参加者の来場をアピールしている。

第2回「Interop Event on IPTV」イベントのご案内
日時 2010年 9月23〜27日(一般参加費無料)
〔注。IPTV-GSI イベント(9 月20-27 日)と並行して開催〕
場所 シンガポール「フュージョンポリス」(Fusionopolis)
「フュージョンポリス」は、シンガポール科学技術研究庁(A*STAR:Singapore Agency for Science, Technology and Research)が、シンガポールを情報通信・メディア、物理化学や工学分野での世界のハブとするために開発された拠点である。
問い合わせ先 ■ジュネーブ:伴野薫(Kaoru BANNO) interop@itu.int.
■シンガポール:Ms. Alice Chan:smchan@i2r.a-star.edu.sg.
■日本:川森雅仁 kawamori.masahito@lab.ntt.co.jp
参考URL ■ITU Web http://www.itu.int/net/ITU-T/cdb/interop.aspx
■日本ITU協会 http://www.ituaj.jp/01_ga/files/IPTV_event_2010_07.pdf
(注。第3回「Interop Event on IPTV」は2010年12 月 於インド(ボンベイ市郊外プーネ)の予定〕


 

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