[標準化動向]

オープンなM2M/IoT時代に対応する920IP(ZigBee IP)とWi-SUNの最新動向

2014/12/01
(月)

M2M/IoT、スマートグリッド時代に対応して、国際的組織である「ZigBeeアライアンス」と「Wi-SUNアライアンス」の動きが活発化し、大きな注目を集めている。まず、ZigBeeアライアンスにおいて、IP対応のZigBee IPの完成に続いて、日本の920MHzに対応したZigBee IPである「920IP」が標準化された。一方、当初からIPにも対応可能であったWi-SUNは、スマートメーターからM2M対応へとダイナミックに進化・発展し始めた。これらの新しい技術によって、これまで「IP化の孤島として取り残されていたホームネットワーク」が、世界的な「パブリック・インターネット」と同様に、IPによる「ホーム・インターネット」が可能になる。これによって、多くのデバイスがIPによる相互接続が可能となり、まさに2020年に500億個のデバイスを接続するIoE時代(すべてがインターネットへ接続する時代)への幕開けを迎えようとしている。

ZigBee アライアンス:920IPからNANの標準化へ

スマートグリッド向けの通信ネットワークは、表1に示すように、HAN(ホームネットワーク)からFAN(地域通信網)、WAN(広域通信網)に至るまで、有線・無線を含めて実に多様なネットワークが登場している。本稿では、このうち、特に「ZigBee アライアンス」の920IPと「Wi-SUNアライアンス」のM2M対応への新しい展開を中心に解説する。

表1 スマートグリッド向け通信ネットワークの規格例

表1 スマートグリッド向け通信ネットワークの規格例

〔1〕現在、ZigBee PROが主流

まず、無線センサーネットワークの標準の策定と相互接続検証を目的として、2002年10月に設立されたZigBeeアライアンス注1は、これまで、

  1. ZigBee-2004〔ネットワーク層以上の規格。ZigBeeV1.0〕
  2. ZigBee-2006〔ネットワーク層以上の規格。機能拡張〕
  3. ZigBee-2007〔ネットットワーク層以上の規格。ZigBee PRO(Zig-Bee-2006の高機能版)〕 

のように、ZigBee アライアンスの独自仕様を次々に策定し、機能を拡張し、現在はZigBee PROが主流として国際的に広く普及している。

〔2〕「ZigBee IP」そして「920IP」を標準化

しかし、スマートグリッド時代を迎えて、米国政府の調達仕様を策定するNIST(米国国立標準技術研究所)注2や電力事業者団体(UCAIug注3)などから、スマートグリッド関連のアプリケーションを走らせるために、このようなZigBeeの独自プロトコル体系ではなく、オープンなIP対応のZigBee、すなわち「ZigBee IP」の策定が要請された。

このため、ZigBeeアライアンス(無線関係)は、新たにオープンなIPプロトコルを採用した、ZigBee IP仕様を2013年2月に策定した。

さらに、NIST(PAP注4)の要請を受けたZigBeeアライアンス(無線関係)は、HomePlugアライアンス(有線関係)などの協力を得て、日本のECONET Liteや欧州のKNXとともに、エネルギー管理プロトコルとして注目されているオープンな「IPv6対応のSEP 2」の標準化を完了させた(2013年4月注5)。

これに続いて、ZigBeeアライアンスは、日本で新しく開放された920MHz帯(サブギガ帯)に対応したオープンなZigBee IPとして、「920IP」の標準化を完成させた(2014年7月)。この920IPは、図1(用語解説は表2を参照)に示すように、ECONET LiteにもSEP 2(Smart Energy Profile 2.0)にも対応可能となっており、すでに920IPを実装した製品も登場し始めている。

なお、920IPの仕様は、920MHz帯を使用して、最大伝送速度:100kbps、最大フレームサイズ:2047バイト、最大通信距離:1〜2㎞となっている。

図1 920IP(ZigBee IP)上で走るECHONET LiteとSEP 2のイメージ(物理層にWi-SUN系のIEEE 802.15.4gを採用)

図1 920IP(ZigBee IP)上で走るECHONET LiteとSEP 2のイメージ(物理層にWi-SUN系のIEEE 802.15.4gを採用)

表2 図1および図4に関する用語解説

表2 図1および図4に関する用語解説

〔出所 「M2M標準化最新動向―oneM2M技術仕様(初版)の全貌―」講演資料より〕

〔3〕CSEPによる相互接続性試験

これらの動きを受けて、この新標準である「SEP 2」の相互接続性を実現させるため、米国の有力なアライアンスである、ZigBeeアライアンス、Wi-Fiアライアンス、Home-Plugアライアンスの3者はCSEP注6を結成した。その後、Bluetooth SIGも参加し、現在、4者による相互接続デモが活発に行われている。

さらに、これらの動きに続いて、IEEE(米国電気電子学会)もSEP 2の標準化に取り組み、「IEEE 2030.5-2013」標準仕様を完成注7させて、IEC(国際電気標準会議)へ提案し国際標準化を目指している。

さらに、ZigBeeアライアンスはZigBeeビジネスのさらなる拡大を目指して、屋内から屋外へとZigBee IPの適用領域を拡大するため、2014年1月から、新しくスマートメーター通信基盤(AMI注8)向けの通信プロファイル(レイヤ1〜4)として、NAN(Neighborhood Area Network、近隣通信網。FANとも言われる)の標準化を開始して、2015年3月の標準化を目指している。


▼ 注1
ZigBeeアライアンス:本部は米国カルフォルニア州。会員数382社(2014年8月時点)。

▼ 注2
NIST:National Institute of Standards and Tech-nology

▼ 注3
UCAIug:UCA International Users Group、電力会社の国際ユーザーグループ。

▼ 注4
SEP:Smart Energy Profile、エネルギー管理用プロファイル。

▼ 注5
PAP:Priority Action Plans、最優先行動計画。スマートグリッド関連の標準を開発するために、NIST内のSGIP(Smart Grid Inter-operability Panel、スマートグリッド相互接続性パネル)によって策定されている優先順位(どの規格を優先的に標準化するかについての順位)を決める行動計画。

▼ 注6
CSEP:Consortium for SEP 2 Interoperability、SEP2相互接続性コンソーシアム。

▼ 注7
出所:http://standards.ieee.org/findstds/standard/2030.5-2013.html

▼ 注8
AMI:Advanced Metering Infrastructure、スマートメーター用通信基盤。

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