[注目される「水素」技術と最新利用技術]

注目される「水素」技術と最新利用技術≪第2回≫ 20カ所以上の商用水素ステーションが稼働へ

― 水素ビジネス参入企業の最新動向 ―
2015/05/01
(金)
SmartGridニューズレター編集部

本格的な水素エネルギーの到来を背景に、前回の特集第1回では、経済産業省主導の水素社会実現を目指す日本の取り組みやロードマップと、産業技術総合研究所の水素供給技術とシステムの開発状況について解説した。
第2回では、2015年度中に実証事業の開始が予定されている水素サプライチェーンについてその概容を見ながら、2015年4月24日現在、すでに稼働中の20カ所の商用水素ステーションなどを含めて、実際に水素ビジネスに参入している各企業の最新動向と、水素社会の実現はどこまで進んでいるのかを解説する。

水素社会実現のための水素サプライチェーンと2015年度予算

 経済産業省は、2015年2月に発表した「水素社会の実現に向けた取り組み」のなかで、水素の「製造」「貯蔵・輸送」「利用」まで一気通貫したサプライチェーン構築が重要であるとしている(図1参照)。これは、水素エネルギー利活用の促進に向けて、需要に見合った水素の安価・安定的な供給を実現するためであり、同省の2015年度予算にも、新たに「未利用エネルギー由来水素サプライチェーン構築実証事業」として20.5億円が割り当てられている(表1)。

表1 平成26年度/27年度の経済産業省の水素エネルギー関連予算

表1 平成26年度/27年度の経済産業省の水素エネルギー関連予算

〔出所 経済産業省資料より〕

 水素サプライチェーンは、図1に示すように、「製造」「輸送・貯蔵」「利用」の3つの領域に分けられている。第1回連載で解説したように、2014年6月に「水素・燃料電池戦略協議会」が策定したロードマップによって、それぞれの目標は設定されているが、実際には、水素社会の実現は、各領域においてどの程度進んでいるのだろうか。領域ごとに見ていく。

図1 水素サプライチェーンの3つの領域

図1 水素サプライチェーンの3つの領域

〔出所 経済産業省資料より〕

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