[展示会]

M2M/IoT実践時代に向けた各社展示が目立つ =第4回 IoT/M2M展特別レポート[2015 Japan IT Week 春]=

2015/06/01
(月)
SmartGridニューズレター編集部

2015年5月13〜15日、東京ビッグサイトおいて「2015 Japan IT Week 春」が開催された(主催:リード エグジビション ジャパン)。同展示会では、「第18回 組込みシステム開発技術展」「第6回 クラウド コンピューティングEXPO」など、合計12の展示会が同時開催されたが、そのなかから、「第4回 IoT/M2M展」についてレポートする。

「2015 Japan IT Week 春」には、3日間合計で8万3,683名が来場し、出展社数は約1,500社にのぼった。各社ブースには多くの来場者が集まり、M2M/IoT導入への関心の高さが伺えた

▲「2015 Japan IT Week 春」には、3日間合計で8万3,683名が来場し、出展社数は約1,500社にのぼった。各社ブースには多くの来場者が集まり、M2M/IoT導入への関心の高さが伺えた。

製品/サービスの連携が進むM2M/IoTプラットフォーム

NECや東芝、日立製作所、ユビキタスなどでは、さまざまなセンサーなどの情報をクラウドサーバに集積して利用するM2M/IoTプラットフォームの展示が目立った。M2M/IoTを実現するためのネットワーク機器も含めてパッケージ化している企業や、各種技術や他社サービスとの連携を打ち出している企業などがあり、各社の強みが活かされていた。

例えば、NECは同社のRAPID機械学習注1やインバリアント分析注2などの技術を統合したM2M/IoTプラットフォームを展示し、東芝は、無線LAN機能(対応規格:IEEE 802.11b/g/n)を内蔵したメモリーカード「FlashAir」を利用して、通信機能のないセンサー機器にも通信機能を付加することで、情報をクラウドへ集約する「Chip to Cloud」プラットフォームを紹介していた。

ここでは、注目を集めたユビキタスの展示を紹介する。

ユビキタスは、同社の「モノ」をつなぎ、さらに「ヒト」「データ」「プロセス」をつなぐ世界をより簡単に作り出すプラットフォームである「dalchymia」(ダルキュミア)を展示。村田製作所のエネルギー創蓄システム制御ユニット(参考出品)と連携し、ビル内のエネルギーの需給状況を見える化するデモを行っていた。

▲ユビキタスは、同社の「モノ」をつなぎ、さらに「ヒト」「データ」「プロセス」をつなぐ世界をより簡単に作り出すプラットフォームである「dalchymia」(ダルキュミア)を展示。村田製作所のエネルギー創蓄システム制御ユニット(参考出品)と連携し、ビル内のエネルギーの需給状況を見える化するデモを行っていた。

さまざまな分野で応用されるM2M/IoTソリューション

医療、交通、運輸、工場など、それぞれの分野の課題を解決するためのM2M/IoTソリューションについても、多くの企業で展示が目立った。

例えば、京セラコミュニケーションシステムは、エプソン製のスマートグラスを利用した遠隔モニタリングソリューションを提供し、現場で作業者が見ている風景に、重ねて作業箇所や内容を表示することで、作業効率の向上などを実現する。また、OKIは、世界初の遠隔トイレ管理システム「AQUA-Remoni」を展示し、ビル内の各トイレに木村技研(東京・世田谷区)の節水バルブを搭載し、その情報をもとに洗浄水量を制御して、節水につなげるソリューションを提示した。

ここでは、ルネサス エレクトロニクス、Vodafone(ボーダフォン、英国・バークシャー)、CONEXIO(コネクシオ、東京・新宿区)、Upr(ユーピーアール、東京・千代田区)、三菱電機など、注目されたソリューションについて解説する。

三菱電機は、工場の「製品開発・設計」「工程・ライン設計」「設備導入・量産」「運用・保全」の各工程においてオートメーションシステムを構築する「e-F@ctory」ソリューションを展示。各工場の生産状況や機器の状態、故障の予測などを見える化したデモを行っていた。

▲三菱電機は、工場の「製品開発・設計」「工程・ライン設計」「設備導入・量産」「運用・保全」の各工程においてオートメーションシステムを構築する「e-F@ctory」ソリューションを展示。各工場の生産状況や機器の状態、故障の予測などを見える化したデモを行っていた。

ルネサス エレクトロニクスは、「次世代のつながる工場」として、工場の自動制御を行う半導体チップセットを展示。同社の産業用LSI(集積回路)である「RZ/T1」「R-IN32M3-EC」「RX64M」を組み合わせ、工場内の設備をリアルタイムで制御するデモを行った。同システムでは、各機器に搭載した半導体チップの高速な処理性能によって、中央サーバへの負荷を軽減する。

▲ルネサス エレクトロニクスは、「次世代のつながる工場」として、工場の自動制御を行う半導体チップセットを展示。同社の産業用LSI(集積回路)である「RZ/T1」「R-IN32M3-EC」「RX64M」を組み合わせ、工場内の設備をリアルタイムで制御するデモを行った。同システムでは、各機器に搭載した半導体チップの高速な処理性能によって、中央サーバへの負荷を軽減する。

ボーダフォンは、米国の医療機器メーカーであるBoston Scientific(ボストンサイエンティフィック)社の遠隔モニタリングシステム「LATITUDE」(ラティテュード)と連携したソリューションを展示。自宅で測った血圧や体重などの情報を、Vodafone M2Mネットワークを利用して専用サーバへ送信することで、担当医が適切な処置を行える。

▲ボーダフォンは、米国の医療機器メーカーであるBoston Scientific(ボストンサイエンティフィック)社の遠隔モニタリングシステム「LATITUDE」(ラティテュード)と連携したソリューションを展示。自宅で測った血圧や体重などの情報を、Vodafone M2Mネットワークを利用して専用サーバへ送信することで、担当医が適切な処置を行える。

ユーピーアールは、追跡システム「なんつい」(「なんでも追跡システム」という意味)を展示(写真手前右の白い筺体)。同システムでは、モノや設備に取り付けた端末から発信される位置情報を、同社APIを利用して地図上に表示することができる。電源には乾電池を、通信はPHS網を、位置情報は基地局測位を利用している。

▲ユーピーアールは、追跡システム「なんつい」(「なんでも追跡システム」という意味)を展示(写真手前右の白い筺体)。同システムでは、モノや設備に取り付けた端末から発信される位置情報を、同社APIを利用して地図上に表示することができる。電源には乾電池を、通信はPHS網を、位置情報は基地局測位を利用している。

コネクシオは、Launch Tech〔ランチテック、中国・深圳(シンセン)市〕社製の通信機能付きOBDⅡ<sup style=

▲コネクシオは、Launch Tech〔ランチテック、中国・深圳(シンセン)市〕社製の通信機能付きOBDⅡ注3端末「golo」(ゴロ)を利用した、カーテレマティクスサービス(自動車向けの次世代情報提供サービス)を展示。車両のODBコネクタにgoloを接続すると(拡大部分)、車両位置や速度、燃費などの情報が、3G回線を介してクラウドサーバに集約され、ユーザーは他社アプリケーションと連携させて利用できる。


▼ 注1
RAPID機械学習技術:映像・音・テキストなどの膨大なデータを、人の手による複雑な加工を介さず学習・認識する技術。高速かつ高精度なデータ分析を行うことができる。

▼ 注2
インバリアント分析技術:多数のセンサーから大量の時系列データを収集・分析し、平常時のセンサー間の不変関係(インバリアント:invariant)を関係式としてモデル化する技術。このモデルの予測値とリアルタイムデータを比較することで、異常を検出することができる。

▼ 注3
OBD:On-board diagnostics。自動車に搭載されている自己故障診断装置のこと。
OBDⅡは、1996年に米国で開発された第二世代規格である。

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