[特別レポート]

― Open Networking Summit 2015レポート ― ソフトウェアが世界を変える! SDN/NFVとオープンソースによる企業改革の時代へ

2015/08/27
(木)

SDN(Software Defined Network)とNFV( Network Function Virtualization)技術最大のカンファレンスであるOpen Networking Summit(ONS) 2015(注1)が 2015年の6月15~18日、シリコンバレーのハイアットリージェンシー・サンタクララ(Hyatt Regency Santa Clara)およびサンタクララ・コンベンション・センター(Santa Clara Convention Center) にて開催された(写真1)。
同イベントは、非営利団体Open Networking Summits Inc.,によって運営され、SDNおよびNFV業界の発展と課題について、各企業が生産的な対話を進められるよう2011年から開催されており、今年で5回目となる。
ここでは、京都産業大学 コンピュータ理工学部 講師 安田豊氏と、一般社団法人 沖縄オープンラボラトリ 技術部 研究員 山崎里仁氏による、現地取材に基づいたレポートをお届けする。

写真1 Open Networking Summit 2015会場入り口の様子

SDN+Open Source

〔1〕SDNとNFV

 最近では「SDN(あるいはOpenFlow)はすでにバズワードとしての旬を過ぎた」といった論調も見られるが、ONS 2015で筆者(安田・山崎)らが見たものは、むしろ今、SDN 技術が企業のなかに入り込み、企業そのものを変えつつある「変革」の姿である。

 SDN(Software Defined Network)はその名の通り、ソフトウェアによってネットワークを定義しようとする技術である。オペレータの手作業に代わってソフトウェアすなわちプログラムによる集中管理と自動化をネットワーク運用に導入するアプローチ全般をSDNと呼ぶ。

 ONSではNFV(Network Functions Virtualization)がもう1つのキーワードとして挙げられていた。SDNは語義としてはネットワークが提供する機能すべてをソフトウェア制御可能にすることを指しているが、OpenFlowがそうであるように、まず L2/L3 スイッチの領域から立ち上がった。NFV とは残りの部分、つまりロードバランス(負荷分散)やアクセス制限といった、従来では専用アプライアンスボックスで実現していたような機能をソフトウェアで実現可能にすることをいう。具体的には、汎用PC上の仮想環境で動作するロードバランサなどのソフトウェア・バージョンとして提供されている場合が多い。

 代表的な応用は、仮想ネットワークの制御である。仮想サーバの運用は、長い時間をかけて自動化が進められてきたが、それを支える仮想ネットワークの管理・運用はオペレータによる手作業だった。これをソフトウェア制御にすることでクラウドデータセンターまるごとの自動制御が可能となり、SDDC (Software Defined Data Center)などと呼ばれるようになった。狙いは設備およびサービスの柔軟かつ迅速な構成変更や追加である。

〔2〕SDNに利用されるオープンソース

 もう1つ、今回(2015年)の ONS は「オープンソース」(Open Source)が SDN に不可欠なものとしてアピールされていたことを強調したい。2014年まで前面に出ていたヴイエムウェア(VMware、仮想化ソフトウェア企業 本社:米国カリフォルニア州)やビッグスイッチ(Big Switch Networks、SDNソリューション提供企業 本社:米国カリフォルニア州)といったプロプライエタリ(独占的)な技術に基づく企業は姿が見えなくなった。キーノート・スピーチの1つでは、AT&T という「レガシー」の代名詞ともいえる巨大企業が、SDN とオープンソースによっていかに急速な変革を遂げているかが語られた。


▼注1

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