2015年10月27日、日本電信電話株式会社(以下:NTT、東京都千代田区、代表取締役社長:鵜浦博夫)、株式会社NTTドコモ(以下:NTTドコモ、東京都千代田区、代表取締役社長:加藤薰)、WHILL株式会社(以下:WHILL社、神奈川県横浜市、CEO:杉江理)の3社は、利用者に行動や気付きを促すインタラクション技術とパーソナルモビリティWHILL(ウィル。以下:WHILL)を用いた、「モビリティ型パーソナルエージェント」の実現に向けた共同実験を2015年10月27日~2016年3月末まで実施することを発表した。
同実験は、ドコモのモビリティシェアシステムを具備したWHILLとスマートフォンに、NTTが研究・開発したクラウド対応型デバイス連携制御技術「R-env:連舞」および音声認識・対話制御技術などを連携させたモビリティ型パーソナルエージェントのプロトタイプを搭載し、初めて乗車する利用者に対し、エージェントとの対話による操作トレーニングを実施する。(図1参照)
図1 操作トレーニングシステムイメージ
将来的には、その他屋外にあるさまざまなデバイスを連携させることで、利用者や周囲の状態を的確に把握し、その状況に合わせた働きかけや、利用者に行動や気付きを促す「人の可能性を広げる」モビリティ型パーソナルエージェントの実現を目指す(図2参照)。
図2 「人の可能性を広げる」モビリティ型パーソナルエージェントによる屋外サービスイメージ
同共同実験の概要は次の通り。
◆共同実験の概要
- これまでの各社の取り組み
NTTは、ロボットやセンサーなどの人を取り巻くデバイスを容易に連携できる完全クラウド対応型デバイス連携制御技術「R-env:連舞」により、言語・非言語情報のやり取りをもとに、人の状態や周囲の環境を的確に把握し、その状態に合わせた働きかけを行うことで、利用者に行動や気づきを促す「人の可能性を広げる」インタラクション技術に関する研究開発を推進してきた。
NTTドコモでは、通信機能やGPS機能、遠隔制御機能などをもったWHILLのモビリティシェアサービスを展開するとともに、みなとみらいなどでWHILL社とシェアリングサービスの実証実験を行ってきた。
今回の共同実験では、これら各社の取り組みで得られた技術やノウハウを持ち寄り、モビリティをロボット化する「モビリティ型パーソナルエージェント」の受容性・有効性について検証を行う。
- 各社の役割と技術
同実証実験における各社の役割は、以下のとおり。
NTTは、NTTサービスエボリューション研究所が開発した、「R-env:連舞」、および本技術に連携された利用者のパーソナルモビリティ操作能力推定技術、NTTメディアインテリジェンス研究所が開発した音声認識・対話制御・音声合成技術を提供。これら技術とWHILLを用いたモビリティ型パーソナルエージェントのプロトタイプを開発し、対話などの利用者とのインタラクション情報やWHILL搭載のセンサー情報から利用者の操作能力を推定する。推定した能力に応じて対話内容を変化させながら操作トレーニングを行うことで、利用者に操作に関する気づきを促し、利用者の操作能力向上に貢献する。
NTTドコモは、WHILLのシェアリングサービスの展開および実証実験でこれまでに得られた知見やノウハウを提供します。利用者がより不安なくシェアリングサービスを利用できるようなモビリティ型パーソナルエージェントの実現に向け、WHILLに初めて乗車する利用者向けの操作トレーニングの受容性・有効性の評価を行い、シェアリングサービスをさらに推進する。
WHILL社は、6軸センサーなどを搭載したWHILLおよびその動作ノウハウを提供し、さまざまな利用形態での有効性の評価と適用領域拡大の検討を行う。
- 具体的な取り組み(実験場所など)
同共同実験期間中、以下の場所でモビリティ型パーソナルエージェントの受容性・有用性に関する実証実験を行う。実証実験では、初めてWHILLに乗車する利用者に必要となる操作の説明とトレーニングを利用者の操作能力に合わせて実施し、課題抽出を含む今後の実用化に向けた検証を行う(図1参照)。
実施場所:長井海の手公園 ソレイユの丘(神奈川県横須賀市)
共同実験を通じて、モビリティ型パーソナルエージェントとの対話による操作トレーニングの受容性・有効性を検証するとともに、要素技術の改善を行いながら、2015年度中にまず本操作トレーニングの商用化を目指す。将来的には、屋外のさまざまなデバイスと連携させることで、利用者にとってのバリアを回避したナビゲーション、利用者や環境の状況に応じたアシスト走行など利用者の状態に合わせた「人の可能性を広げる」サービスの実現を目指す。さらには、「R-env:連舞」を利用するパートナー企業を拡充させ、つながるデバイスを増やし、モビリティだけでなく、日常的な利用者の状態などの情報を引き継ぎながら、コミュニケーションロボットや家電などのデバイス上で動作するパーソナルエージェントによって、機械が人の状況を「理解し」、人に「働きかけ」、人の新たな行動・気づきを「促す」世界の実現を加速させていく(図3参照)。
図3 機械が人の状況を「理解し」、人に「働きかけ」、人の新たな行動・気づきを「促す」世界の実現イメージ