[特集]

日米欧のクリーンエネルギー政策と次世代自動車を支える最新技術

― 拡大するHV/EV/PHV/FCV市場とH2V、自動運転 ―
2015/11/30
(月)
SmartGridニューズレター編集部

今、自動車業界で2つの革命が同時進行している。第1の革命は駆動装置の革命であり、第2の革命は自動運転という革命である。特にエンジン駆動からモーター駆動への駆動装置の革命は、世界中で喫緊の課題となっている地球温暖化に伴う温室効果ガスの削減と深い関係にある。もともと排気ガスを排出する自動車製造にかかわる自動車業界にとっては大きな課題であり、そのため、各社とも電気自動車(EV)注1やハイブリッド自動車(HV/PHV)注1、燃料電池自動車(FCV)注1などクリーンな自動車の技術開発に力を注いでいる。
ここでは、各国で進められているクリーンエネルギー政策を整理するとともに、自動車業界の新しい動向について見ていく。

クリーンエネルギー政策の経緯

 クリーンエネルギー政策における国際交渉は、1992年6月にリオデジャネイロで開催された国連環境開発会議(地球サミット)において行われた、155カ国による気候変動枠組条約注2への署名、そして、国際的に話題となった1997年12月に京都で開催されたCOP3注3における「京都議定書」の採択によって本格的に動き出した。

 京都議定書は、

  1. 先進国などが、全体で温室効果ガス(CO2)の総排出量を2008~2012年(第1約束期間)の間に1990年の水準である380億トン(CO2換算)から5%削減すること
  2. 先進国などはそれぞれ議定書に定められた排出削減の目標を達成すること
  3. 目標達成のために、国内での排出削減努力に加えて、国内の森林などの吸収源による除去の増加分や、先進国と途上国が共同で排出削減事業を行う「クリーン開発メカニズム」(CDM)、先進国同士が共同で排出削減事業を行う「共同実施」(JI)、そして「排出量取引」という3つの制度を活用できること

などを定めている。各国の温室効果ガスの削減目標は、毎年開催されているCOPにおいて、そのときどきの各国の状況や世界情勢に沿って目標の算定方法や数値の修正が行われている(図1参照)。

図1 クリーンエネルギーに関しての国際交渉の経緯

図1 クリーンエネルギーに関しての国際交渉の経緯

出所 経済産業省、「地球温暖化問題をめぐる状況」、2014年7月、http://www.meti.go.jp/committee/sankoushin/sangyougijutsu/pdf/001_05_00.pdf

 本年2015年11月30日~12月11日にフランス・パリで開催されるCOP21は、同会議に先立って各国が提出している温室効果ガス削減目標の約束草案の交渉期限となっており、2020年以降の国際的枠組みが決定されるため、大きな注目を集めている

 次に、日米欧のクリーンエネルギー政策について見ていく。


▼ 注1
EV:Electric Vehicle
HV:Hybrid Vehicle/PHV:Plug-in Hybrid Vehicle
FCV:Fuel Cell Vehicle

▼ 注2
気候変動枠組条約:気候変動に対処するための国際的な取り組みを定めるもので、「大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させること」を最終目的として、先進国における温室効果ガスの排出削減措置の実施、途上国の取り組みへの支援などを定めている。

▼ 注3
COP:Conference of Parties to the United Nations Framework Convention on Climate Change、気候変動枠組条約締約国会議。

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