[特集]

産業革命とインターネット革命を融合したインダストリアル・インターネットとIICの新しい展開

2016/01/30
(土)
SmartGridニューズレター編集部

産業界の生産性の向上、新しい市場を目指して、産業革命とインターネット革命を融合させて実現する米国のIIC(Industrial Internet Cosoutium)が大きな注目を集めている。すでに世界の主要な企業235社が結集し、なお増加している。
ここでは、国際競争力が低下し始めた日米欧の生産性の現状を分析しながら、世界の生産性効率の向上とイノベーションの取り組みを紹介する。また、GEのインダストリアル・インターネット構想や、ドイツのIndustrie 4.0とIICのコンセプトの違いなどについて解説した後、IICの今後の展開と新しいビジネスモデルへの期待を述べる。なお、本稿は、一般社団法人日本OMG代表理事、IIC 日本代表(Sales Representative, Japan)の吉野晃生(よしの てるお)氏への取材を元にまとめたものである。

国際競争力が低下し始めた日米欧

 1990年代後半から韓国、中国、台湾、インドなどのアジア勢の急速な台頭によって、日米欧の製造業における国際的な競争力は相対的に低下し、袋小路に入ってきている。このため、国際的に急速に普及してきた、モノやサービスをつなげるインターネット「IoT」(Internet of Things)/「IoS」(Internet of Services)をどう活用し、産業分野にイノベーションを起こして生産性を向上させるかが焦眉の課題となり、製造業の先進国であった日米欧は、今後の命運を分ける時代に突入した。

 具体的には、国連の専門機関であるIMF(国連通貨基金注1)が、2015年10月に発表した世界の名目GDP(国内総生産。USドル注2)のランキングを見ると、第1位の米国(17兆3,480億ドル)に続いて、第2位中国(10兆3,565億ドル)、第3位日本(4兆6,023億ドル。約500兆円)、第4位ドイツ(3兆8,744億ドル)と先進国が続いている。

 しかしこれに対して、世界の一人当たりの名目GDP(USドル注3)のランキングとなると、図1に示すように、米国は11位に、ドイツは17位に、日本に至っては27位と生産性は急速に低落してきており、このような低落傾向、すなわち低成長・不安定時代への歯止めが喫緊の課題となってきた(参考:中国は人口が多いこともあり、一人当たりの名目GDPは80位となっている)。

図1 世界の一人当たりの名目GDP(USドル)のランキング

図1 世界の一人当たりの名目GDP(USドル)のランキング

出所 IMF - World Economic Outlook Databases(2015年10月版)、http://ecodb.net/ranking/imf_ngdpdpc.htmlhttp://ecodb.net/ranking/old/economy/https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_IMF_ranked_countries_by_GDP

 このような背景のもと、日本、米国、ドイツ(欧州)は、国際競争力を強化する面からも、産業界(製造業など)における抜本的な変革が必要であるということから、まずドイツが第4次産業革命「Industrie 4.0」という構想を打ち立てた。これに刺激されて、米国ではIIC(Industrial Internet Consortium)が設立され(表1)、後述する表2に示すような国際的な流れとなって、日本、中国、韓国、インドなどにも波及していったのである。

表1 IIC(Industrial Internet Consortium)のプロフィール

表1 IIC(Industrial Internet Consortium)のプロフィール

出所 各種資料より編集部が作成


▼ 注1
IMF:International Monetary Fund、国際通貨基金、本部:米国首都ワシントンD.C.。1945年に、国際金融および為替相場の安定化を目的として設立された国際連合の専門機関。2016年1月現在、加盟国は、188カ国である。

▼ 注2
GDP(国内総生産)とは、国内の生産活動による商品・サービスの産出額から原材料などの中間投入額を控除した付加価値の総額。2015年の為替レートによって、USドルに換算している。

▼ 注3
一人当たりのGDP=GDP(国内総生産)÷人口、で計算される。2015年の為替レートによって、USドルに換算している。

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