[トピックス]

進む洋上風力発電所の建設

2013/07/01
(月)

風力発電の発電コストは太陽光より大幅に安く、また再生可能エネルギーの中でも成熟した技術と豊富な実績をもっているため、世界的に導入・普及が進んでいる。なかでも、海上に設置する洋上風力発電は、風況や立地制約面からもその導入可能量は太陽光の10倍とも言われ、大きな期待が寄せられている。

NEDOは、千葉県銚子沖および福岡県北九州市沖の2カ所で、洋上の風向と風速を観測する洋上風況観測タワーと、実際に洋上で発電を行う洋上風車を実海域に設置するプロジェクトを推進。3月4日には、千葉県銚子市で国内初の「沖合洋上風力発電実証研究設備」の本格実証運転(2.4メガワット)がスタートした。また、日本海側にも福岡県北九州市沖約1.4kmの海域に、定格2メガワットの洋上風車(着床式)の設置を完了し、6月中には発電を開始する。

一方、東日本大震災による福島第一原子力発電所事故で大きな被害を受けた福島県では、福島県沖で世界初となる変電所を含めた浮体式洋上風力発電の実証プロジェクトが進んでおり(図)、本年10月にも発電を開始する。同計画では、福島県双葉郡沖約18キロの横約3km、縦約4kmの海域で、2013年夏に第1期となる発電量2メガワット1基と変電設備、2014年度以降に7メガワット2基の風力発電設備を設置する。現在、海底ケーブルの敷設やアンカーチェーン(投下して設備を一定の位置に固定するチェーン)の設置工事が行われており、発電設備本体は7月以降、福島県沖に運ばれる予定である。

騒音や環境問題も少ないという利点のある大容量の洋上風力発電の実現は、今後の再生可能エネルギー利用拡大のカギを握っている。

図 福島復興・浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業の完成イメージ図

図  福島復興・浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業の完成イメージ図

〔出所 http://jwpa.jp/2012_pdf/88-21tokusyu.pdf

関連記事
新刊情報
5G NR(新無線方式)と5Gコアを徹底解説! 本書は2018年9月に出版された『5G教科書』の続編です。5G NR(新無線方式)や5GC(コア・ネットワーク)などの5G技術とネットワークの進化、5...
攻撃者視点によるハッキング体験! 本書は、IoT機器の開発者や品質保証の担当者が、攻撃者の視点に立ってセキュリティ検証を実践するための手法を、事例とともに詳細に解説したものです。実際のサンプル機器に...
本書は、ブロックチェーン技術の電力・エネルギー分野での応用に焦点を当て、その基本的な概念から、世界と日本の応用事例(実証も含む)、法規制や標準化、ビジネスモデルまで、他書では解説されていないアプリケー...