[新動向]

IoT・スマートグリッド時代に必須なECHONET Lite/AIF認証、HANプロファイル認証

― テュフ ラインランドが4月から新認証制度「AIF認証」をスタート ―
2016/05/09
(月)

ドイツ・ケルン市に本社を構えるテュフ ラインランド(TÜV Rheinland)は、IoT・スマートグリッド時代に対応し、スマートメーター関連の通信やアプリケーションの相互接続性を目指して、Wi-SUNやG3-PLC、OpenADR、KNXなどの先進テクノロジー分野で、多角的な認証試験業務を次々に推進している。現在、全世界69カ国の500拠点に、2万人の従業員を擁し、年商17億ユーロ(約2,100億円)の国際的な第三者認証機関である。
ここでは、2016年4月1日からECHONET Lite注1に関する新しい認証制度「AIF認証」(AIF:Application Interface)を開始する注2など、新認証制度に意欲的に取り組むテュフ ラインランド ジャパン株式会社 通信機器ラボラトリーシニアスペシャリスト 水城 官和(みずき のりかず)氏の講演注3をもとに同社の取り組みをレポートする。

テュフ ラインランド ジャパンのプロフィール

表1 テュフ ラインランドが認定されているアライアンスの一覧

表1 テュフ ラインランドが認定されているアライアンスの一覧

出所 各種資料より編集部が作成

 テュフ ラインランドは、表1に示すように、すでに多くのスマートグリッド関連のアライアンスやコンソーシアムから、第三者の認証・試験機関として認定され、国際的に幅広い各種の認証試験に取り組んでいる。

 ここでは、1983年に設立されたテュフ ラインランド ジャパン(表2)の日本におけるスマートグリッド関連の取り組みに焦点を当てて、その活動内容を紹介する。

表2 テュフ ラインランド ジャパンのプロフィール

表2 テュフ ラインランド ジャパンのプロフィール

ECHONET Lite/AIF認証における評価対象範囲

〔1〕SMA仕様の制定とSMA認証

 スマートハウスの中核となる推奨インタフェース「ECHONET Lite」(2011年12月、一般公開)などを推進する一般社団法人エコーネットコンソーシアムは、ECHONET Lite通信プロトコルの相互接続性を確保注4するため、2013年12月に「スマートメーターとHEMS」間のアプリケーション通信インタフェース仕様書(SMA仕様注5)を制定した。このSMA仕様に対する仕様適合性認証(SMA認証)を行い、相互接続性を担保するために第三者機関による実機試験を実施することが義務づけられた。

 その試験機関として、2014年5月に「神奈川工科大学HEMS(ECHONET Lite)認証支援センター」が指定されていたが、2016年4月以降、その認証機関、試験機関として、テュフ ラインランドを含む8社の第三者機関が認定されている注6

〔2〕SMA認証を拡張し「AIF認証」へ

 ECHONET Lite通信プロトコルは、市場展開の中で、スマートメーターとHEMS間だけでなく、最近では、HEMSと家庭内(スマートハウス)における重点8機器注7を結ぶ通信規格としても採用されるようになり、すでにその認証製品は300種以上にのぼっている(https://echonet.jp/product/)。

 このような状況もあり、2016年4月1日からは、従来のSMA認証を包含した、新しい認証制度「AIF認証」(アプリケーション通信インタフェース認証)注8が開始された。このHEMSと重点8機器を接続して構成されるネットワークは、スマートグリッドではHAN(Home Area Network、ホームエリアネットワーク)と呼ばれる。具体的には、後述する図2のHAN/AIFの部分の認証である。

 AIF認証は、従来のSMA認証(スマートメーターとHEMS間のみの認証)を拡張し、HEMSと重点8機種の相互接続までを含め、アプリケーション通信インタフェース(AIF)仕様に沿って、新たな第三者認証機関によって認証・試験されることとなった。このような経緯から、従来のSMA認証は「旧SMA認証」とも呼ばれている。評価対象となる上位のECHONET Lite/AIFと下位の通信プロトコル関係を示すと、図1のようになる。

図1 ECHONET Lite/AIF認証における評価対象範囲

図1 ECHONET Lite/AIF認証における評価対象範囲

出所 一般社団法人エコーネットコンソーシアム:「アプリケーション通信インタフェース仕様 仕様適合性認証 申請の概要 第2版」、2016年3月18日


▼ 注1
ECHONET Lite:エコーネットコンソーシアムによって作成された規格で、ISO規格およびIEC規格として国際標準化された。2011年12月に一般公開され、日本では、HEMSの標準プロトコルとして認定された。https://echonet.jp/

▼ 注2
http://www.tuv.com/news/jp/japan/about_us_jp/press_2/news_1/newscontentjp_272384.html/echonet

▼ 注3
テュフ ラインランド ジャパン株式会社主催、「スマート社会・電力自由化に向けた取り組み最前線セミナー」、2016年3月9日

▼ 注4
関連するECHONET Lite規格書に準拠した機器およびソフトウェアの規格適合性認証。一般社団法人エコーネットコンソーシアム「ECHONET Lite規格適合性認証申請の概要ECHONET Lite規格 Ver.1.0*/Ver.1.1*用 第8版」、2016年3月18日

▼ 注5
SMA仕様:SMAはSmart Meter Application Interfaceの略。スマートメーターとHEMS間のアプリケーション通信インタフェース、2013年12月2日制定。

▼ 注6
認証機関/試験機関リスト:http://echonet.jp/ninsyo-kikan/

▼ 注7
重点8機器:スマートメーターBルート、太陽光発電、蓄電池、燃料電池、EV/PHV、エアコン、照明機器、給湯器の8機器のこと。低圧スマートメーターBルートとHEMS間は1対1接続が義務づけられているので、HEMSと重点8機器のうちスマートメーターBルートを除いた機器が1対N接続のHANとなる。

▼ 注8
一般社団法人エコーネットコンソーシアム「アプリケーション通信インタフェース仕様 仕様適合性認証 申請の概要 第2版」、2016年3月18日、https://echonet.jp/wp/wp-content/uploads/pdf/General/kikaku-ninsyo/application_ECHONET_AIF.pdf

ページ

関連記事
新刊情報
5G NR(新無線方式)と5Gコアを徹底解説! 本書は2018年9月に出版された『5G教科書』の続編です。5G NR(新無線方式)や5GC(コア・ネットワーク)などの5G技術とネットワークの進化、5...
攻撃者視点によるハッキング体験! 本書は、IoT機器の開発者や品質保証の担当者が、攻撃者の視点に立ってセキュリティ検証を実践するための手法を、事例とともに詳細に解説したものです。実際のサンプル機器に...
本書は、ブロックチェーン技術の電力・エネルギー分野での応用に焦点を当て、その基本的な概念から、世界と日本の応用事例(実証も含む)、法規制や標準化、ビジネスモデルまで、他書では解説されていないアプリケー...