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横浜市と東電EPと東芝、「仮想の発電所」構築に向け基本協定を締結

2016/07/06
(水)
SmartGridニューズレター編集部

2016年7月6日、横浜市(横浜市長:林 文子)、東京電力エナジーパートナー株式会社(以下:東京電力EP、東京都港区、代表取締役社長:小早川 智明)、株式会社東芝(以下:東芝、東京都港区、代表執行役社長:綱川 智)は、横浜市内における「仮想の発電所」(バーチャルパワープラント:VPP)の構築※1に向けた事業「スマートレジリエンス※2・バーチャルパワープラント(以下:VPP)構築事業」に係わる基本協定を締結したことを発表した。
 図1 事業イメージ

3者はこれまで、横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)実証事業※3で培った知見を活かし、また、平成27年4月に発足した「横浜スマートビジネス協議会(YSBA)」において、防災性、環境性、経済性に優れたエネルギー循環都市の実現に向けて取り組んできたが、今回テーマ型共創フロント※4を活用した基本協定の締結により、これまでの取り組みを加速させるとともに、国が平成29年に目指している節電取引市場※5の形成にも貢献していく。
 図2 各者の役割

事業概要

  1. 概要
    地域防災拠点に指定されている横浜市内の小中学校(各区1校、全18校を予定)に、10kWhの蓄電池設備を設置し、東芝が開発した蓄電池群制御システムにより、平常時には電力需要の調整(デマンドレスポンス)のために東京電力EPが活用、非常時には防災用電力として横浜市が使用する。
     図3 概要イメージ

     
  2. 協定締結期間
    平成28年7月6日から平成30年3月31日まで

事業の特長

  1. エネルギー循環都市を目指す横浜をフィールドとした事業展開
    横浜市は、YSCP実証事業を通じたHEMSやBEMS等の積極的導入により、地域レベルでのエネルギーマネジメントを高いレベルで展開しております。また、再生可能エネルギー等の分散電源が市内全体の電力使用量の約10%あるなど、最適なフィールドでVPP構築の有効性を検証する。
     
  2. VPPとBCP※7電源をパッケージ化した新たなサービス
    同事業は、蓄電池設備の効用を小売電気事業者とユーザーが分かち合う新たなサービスモデルとなる。 具体的には、横浜市の公共施設(地域防災拠点)内に設置した蓄電池設備を、平常時は小売電気事業者が電力の需要と供給のバランスを維持するためにVPPとして活用すると同時に、非常時には通信設備を数日間維持するためのBCP電源として利用できる。
     
  3. 電力卸市場価格の変動にリアルタイムで追従する高度なIoT技術による群制御システムの導入:
    YSCP実証事業で培った蓄電池群制御技術と運用ノウハウを生かし、同事業で想定している市場価格変動に連動したリアルタイムでの充放電運転を実現する新たな蓄電池群制御システムを、迅速に構築して導入する。システムでは、蓄電池設備、再生可能エネルギーの有効活用に向けて、以下の実現を目指す。
  • 設置環境の特性、季節変動、天候等により変化する充放電可能量の予測に基づく蓄電池制御
  • 複数の蓄電池ごとに異なる充放電量を考慮したポートフォリオ管理・制御
  • 電力システム改革の進展に合わせた柔軟なシステム拡充

※1 バーチャルパワープラント(VPP)構築事業:エネルギーマネジメント技術により、地域に散在する再⽣可能エネルギー発電設備や蓄電池等のエネルギー設備、デマンドレスポンス等の取組を統合的に制御、あたかも⼀つの発電所のように機能させる仕組みと、需要家側のエネルギー設備を供給⼒・調整⼒等に活⽤するビジネスモデルの構築を目指す事業。

※2 スマートレジリエンス:低コストで環境性が⾼く、災害に強い設備・街づくりを構築する取組。

※3 YSCP 実証事業:平成22年に経済産業省から「次世代エネルギー・社会システム実証地域」として選定を受けた取組。エネルギー需給バランスの最適化に向け、HEMS、太陽光発電、電気自動車を導⼊し実証を進めた。(平成26年度末に実証を完了)  

※4 テーマ型共創フロント:横浜市から⺠間企業へテーマを示し、そのテーマに対する公民連携事業の提案やアイデア等を募集する仕組み。

※5 節電取引市場:需要家の節電量を、小売電気事業者などが売買できる市場。

※6 IoT(Internet of Things):物体(モノ)に通信機能を持たせ、インターネット接続することで、自動制御などを⾏う仕組み。 

※7 BCP:Business Continuity Plan(事業継続計画)の略。

■リンク
横浜市
東京電力エナジーパートナー
東芝

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