[新動向]

HEMSデータをどう活用し新サービス市場を創造するか

─経産省がデータ取扱マニュアルを策定へ!─
2014/08/01
(金)
SmartGridニューズレター編集部

M2M/IoT からIoE への発展が加速し、ビッグデータ時代を迎える中で、いよいよ東京電力でスマートメーターの設置が開始され、HEMSからのデータを活用した新しいサービス市場をどのように創出するか、という関心が高まっている。ここでは、経済産業省/スマートハウス・ビル標準・事業促進検討会が発表した、「HEMSデータ利活用サービス市場におけるデータ取扱マニュアルα版の検討イメージ」の内容を解説する。

IT 総合戦略本部:パーソナルデータの利活用を見直しへ

〔1〕新しいビッグビジネスの創出
「M2M」(Machine to Machine、機器同士の通信)や「IoT」(Internet of Things、モノのインターネット)は、さらにIoE(Inter-net of Things、すべてのモノをつなげるインターネット)へと進展し、大きな市場を形成し始めており、関連するデバイス接続数は2020年に全世界で500億デバイスにも達すると予測されている注1
 
また、電力を効率的に利用できる仕組みとして登場したスマートグリッドは、そのベースとなるスマートメーター(低圧:100~200V)の設置が、2014年4月から東京電力管内で開始され、その数は2020年末までに2,700万台設置される。さらに、日本全国10電力会社の総設置台数としては、高圧(6,600V)用が約100万台、低圧(100~200V)用は約7,800万台設置され、全世界的には、数億台~十数億台に達すると見られている。
 
一方、クラウド技術の進展に伴って、ビッグデータの収集とその解析手法も進化し、新しいビッグビジネスの創出に利用されはじめている。
 
〔2〕政府が「制度改正大綱」を策定
このような新しいビジネスの登場は、同時に大量のパーソナルデータ(個人情報)を利活用するため、プライバシーを守る観点から、保護すべき情報の範囲やビジネスを行う事業者が守るべきルールの見直しが求められている。
 
日本では、個人情報保護法注2が制定されてからすでに10余年が経過しているが、この10年間のICTの進化・発展に伴って、パーソナルデータのビジネスへの利用価値はますます高くなってきている。
 
しかし、同時に、パーソナルデータをどこまで自由に利用し活用することが許されるのか、プライバシーを侵害することになるのかどうか、などの不明確な「グレーゾーン」が出てきており、日本の今後のビジネスイノベーションの創出に大きな影響を与えようとしている。
 
そこで、政府のIT総合戦略本部(正式名:高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部)は、「パーソナルデータの利活用に関する制度見直し方針」注3を決定し、これを踏まえて、個人情報保護法の改正も視野に入れた、政府としての方向性を示す全分野共通となる「パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱」注4を策定し、2015年の通常国会に法案が提案される予定となっている。そのロードマップは図1の通りである。
 

▼注1
 
▼注2
個人情報保護法:個人情報の保護に関する法律〔平成15(2003)年〕
 
▼注3
 
 
▼注4
 
 
◆図1 出所

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