[スペシャルインタビュー]

oneM2Mも視野に入れて普及・拡大するWi-SUN!

―Wi-SUNアライアンス議長 Phil Beecher(フィル・ビーチャー)氏に聞く―
2014/08/01
(金)

東京電力が「Wi-SUN規格」をスマートメーター用通信インタフェース(B ルート)として採用を決定したところから、「Wi-SUN規格」が急速に注目され、普及し始めている。そこで、Wi-SUNアライアンス議長であるフィル・ビーチャー(Phil Beecher)氏に、Wi-SUNに関する最新の動向や日米における普及状況、今後の展開をお聞きした。最後に、フィル・ビーチャー氏は、Wi-SUNアライアンス内にすでにM2M関連のInterest Group(専門委員会)を設置しM2Mに関する検討を開始しており、M2Mの国際標準化組織である「oenM2M」の動向にも大きな関心をもっている、と語った。

1. Wi-SUN規格が策定された背景

─編集部:Wi-SUNという近距離無線通信にWi-SUN〔ワイサン、IEEE 802.15.4g(SUN)注1〕が急速に普及してきましたね。

Beecher:はい。ご存じのように、Wi-SUNという近距離無線通信に関する標準規格は、2008年から米国電気電子学会のIEEE 802.15.4gタスクグループ(TG4g)で標準化が進められ、2012年3月にIEEE-SA(IEEE標準策定委員会)によって承認された物理層(PHY:Physical Layer)の通信規格です。「SUN」とタイトルがついているように、最初からスマートメーターに向けた規格であることが明確にされています。当時、私は802.15.4gタスクグループの議長を務めていました。
このWi-SUN規格は、世界各国のメンバー企業の協力によってつくられましたが、とくに日本のNICT(情報通信研究機構)をリーダーとして、富士電機、パナソニック、東京ガス、大阪ガス、東邦ガスなどの日本企業をはじめ、JUTA(Japan Utility Telemetering Association、テレメータリング推進協議会)などが熱心に牽引されて策定できた標準規格です。
この規格が承認される2カ月前に、Wi-SUNアライアンスが設立(2012年1月、表1)されましたが、このとき、私がWi-SUNアライアンスの議長に、NICTの原田博司さん(802.15.4g副議長、現:京都大学教授)がアライアンス理事会共同議長に選出され、いっしょにWi-SUNアライアンスの活動を展開してきました。

 


▼注1
IEEE:Institute of Electricaland Electronics Engineers、アイトリプルイー。
米国電気電子学会IEEE 802.15(WPAN):WPANはWireless PersonalArea Network、IEEE 802委員会の近距離無線通信網ワーキンググループ
Wi-SUN:ワイサンという。Wireless Smart UtilityNetworksSUN:Smart Utility Networks、スマートメーター向け通信規格
TG4:Task Group 4、作業部会4

◆表1 出所
http://www.wi-sun.org/ を参考に作成〕

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