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NEDOとカネカ、結晶シリコン太陽電池のセル変換効率で26.33%を実用サイズで達成

2016/09/14
(水)
SmartGridニューズレター編集部

2016年9月14日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下:NEDO、川崎市幸区、理事長:古川 一夫)のプロジェクトにおいて、株式会社カネカ(以下:カネカ、大阪市北区、代表取締役社長:角倉 護)は、最も普及している結晶シリコン太陽電池のセル変換効率で、世界最高となる26.33%を実用サイズ(180cm2)で達成したことを発表した。

同成果は、結晶シリコン太陽電池の技術開発を先導するものであり、太陽電池の高効率化による発電コストの低減に大きく寄与するものとなる。

概要
太陽光発電は、発電コストが他の電源に比べ依然高いことから、コスト低減が重要な課題となっている。太陽電池の変換効率の向上は、太陽光発電における発電コストの低減に大きく寄与するため、世界中の企業、研究機関が技術開発に取り組んでいる。
NEDOの「高性能・高信頼性太陽光発電の発電コスト低減技術開発」プロジェクトにおいて、株式会社カネカは、結晶シリコン太陽電池(ヘテロ接合バックコンタクト型)※1を開発し、結晶シリコン太陽電池として世界最高※2となる、セル変換効率※3:26.33%を実用サイズ※4(セル面積180cm2)で達成した。
同実績は、これまでの世界最高記録25.6%を約0.7ポイント更新するもので、世界ではじめてセル変換効率26%を突破した。

今回の成果
NEDOと株式会社カネカは、発電コストの低減を目的として、高効率結晶シリコン太陽電池の開発を進めてきた。今回の成果は、株式会社カネカが開発した高品質アモルファスシリコンを用いたヘテロ接合技術や、電極の直列抵抗を低減させる技術、太陽光をより効率的に利用できるバックコンタクト技術を組み合わせることにより実現したものである。
太陽電池の変換効率の向上は、発電量の増加に加え、一定の発電量がより小面積で得られることから、太陽光発電システムの導入費等の低減にも繋がる。現在導入が進む結晶シリコン太陽電池で26%を超えるセル変換効率を達成したことは、発電コストの低減に大きく寄与するとともに、設置面積が制限される住宅における太陽電池の更なる普及にも大きく貢献するものと期待される。

今後の予定
NEDOと株式会社カネカは、発電コスト目標2020年:14円/kWhと2030年:7円/kWhの実現に向け、高効率と高信頼性を兼ね備えた太陽電池の低コスト化技術開発に取り組む。また、株式会社カネカでは、今回の成果を活用した高効率太陽電池の製品化を計画しており、製品の実用化に向け開発を進める。


※1 結晶シリコン太陽電池(ヘテロ接合バックコンタクト型):ヘテロ接合技術とバックコンタクト技術を組合せた結晶シリコン太陽電池。ヘテロ接合技術は物性の異なる半導体材料を接合する技術で、結晶シリコンとアモルファスシリコンの組合せによる欠陥低減や、電気に変換できる光の波長が異なる材料を組合せることで変換効率を向上させることができる。バックコンタクト技術は太陽電池の裏側にのみ電極をつくり電気を取り出す技術で、電極を裏面に集約することで、受光面を広くできるため、変換効率を高めることができる。

※2 2016年9月14日現在、非集光型結晶シリコン太陽電池セルにおいて[株式会社カネカ調べ]。

※3 セル変換効率:太陽電池の重要な性能指標の一つで、光のエネルギーを電気エネルギーに変換する割合。フラウンホーファー研究機構(世界の太陽電池の変換効率を公的に測定する機関の一つ)で測定。

※4 実用サイズ:市場で一般的に使用されている結晶シリコン太陽電池のセル面積(148cm2~246cm2

■リンク
NEDO
カネカ

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