[イベント]

CPS/IoT時代を拓く次世代テクノロジーが勢ぞろいした‘CEATEC JAPAN 2016’

― 新型センサーからLPWA・VPP・自動運転・AI・Society 5.0まで ―
2016/11/10
(木)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

デンソー:自動運転を体感できるコックピットシステム

 自動車のIoT化が進展するなかで、「自動運転車」に関する出展も目立った。先進的な自動車技術やシステム・製品を提供する、グローバルな自動車部品メーカーであるデンソー(DENSO)は、自動運転を体感できる近未来のコックピットシステムを展示した。

 写真13は、HMI(Human Machine Interface)技術を用いた自動車専用道路での合流や、車線変更時などを体感できる近未来のコックピットシステムである。例えば、ハーモニアス・ルミに代表される安全サポートシステムが、車に迫る危険を予測して、それとなくドライバーに注意を促したり、事前に進行方向を伝えてくれるなど、安心で安全な運転を支援する。

写真13 来場者が体感するデンソーのコックピットシステム

写真13 来場者が体感するデンソーのコックピットシステム

出所 編集部撮影

 コックピット前面の大型ヘッドアップディスプレイの中央下部に設置されたハーモニアス・ルミは、通常は青色に光るが、障害物などが接近し危険を察知すると黄色や赤色に発光しアラームを出す。

 コックピットの左右には、カメラとディスプレイを使った電子ミラー、中央にはドライバー・ステータス・モニター注11、ハーモニアス・ハンドルが配置されている。また、運転指示などを出すハーモニアス・ボイスも発するようになっている。

富士通:連携して学習するAIロボット「おもてなしロボピン」

 富士通ブースでは、同社が開発中のAIロボット「ロボピン」注12(写真14)を会場の各所に展示して注目された(開発:富士通研究所)。

写真14 連携して学習するAIロボット「おもてなしロボピン」(富士通)

写真14 連携して学習するAIロボット「おもてなしロボピン」(富士通)

出所 編集部撮影

 ロボピンは、クラウドにおけるAI(ロボットの頭脳)と連携して動作する。スマホのディスプレイなどと異なり、顔の部分には目が1つ(単眼)あって、顔と手が動き、うれしいときなどの感情も表現でき、緑色(LED)になったり、ピンク色になったりする。また、複数のロボットを相互に接続するIoT環境では、Aのロボットが学習したことがBのロボットにも伝えられて共有されるため、接続されているロボットすべてが、お互いに成長し賢くなっていく。

2030年にSociety 5.0(超スマート社会)を実現へ

 そのほかCEATEC JAPAN 2016では、多くの講演が行われたが、ここでは、電子情報技術産業協会(JEITA注13)社会ソフトウェア専門委員会 委員長 千村 保文氏(沖電気工業)の講演『「超スマート社会」を創ろう!』注14について紹介する。

〔1〕「科学技術基本計画」(第5期)がSociety 5.0を打ち出す

 現在、地球温暖化への取り組み(COP21のパリ協定)が喫緊の課題であるという背景もあり、地球環境に配慮した国際的な「スマート化」の波が急速に活発化し、例えば国際的には、第4次産業革命への取り組みが展開され始めている注15

 このような背景から、日本では、2016年1月に「科学技術基本計画」(第5期)が閣議決定され、2030年を目標に、超スマート社会(Society 5.0)を実現するというコンセプトが打ち出された注16

 超スマート社会とは、ICTを最大限に活用し、サイバー空間(インターネットの世界)とフィジカル空間(現実の世界)とを融合させた取り組み(CPS:Cyber Physical System)によって、人々に豊かさをもたらす社会「Society 5.0」の実現を目指すことである。

〔2〕国際標準機関でも活発な審議へ

 このような活動は、日本だけではなく国際的な動きにもなってきており、例えば、IECやISO、ITU-Tなどの国際標準機関においても、IoTを核に据えて、IoTおよびスマートシティに関する国際標準として、エネルギー、製造プロセス、ビッグデータ、サービス(AAL:Active Assisted Living、積極生活支援)、福祉・介護(高齢化社会対応)などの分野で活発な検討が行われている。

 Society 5.0(超スマート社会)の具体的なイメージとして、図10に示すような交通環境における「スマートルートシティ」のような例が挙げられる。

図10 Society 5.0(超スマート社会)のコンセプトデザイン:スマートルートシティの例

図10 Society 5.0(超スマート社会)のコンセプトデザイン:スマートルートシティの例

出所 千村 保文、「超スマート社会」を創ろう!〜超スマート社会コンセプト”Software Defined Society”の実装に向けて〜」、2016年10月6日

 図10に示す「スマートルートシティ」(コンセプトデザイン)では、カーナビから得られる事前の渋滞情報(走行情報)を都市レベルで共有し、渋滞しないよう多様な交通手段(水上バス・電車・バス・自動車・自転車など)が融通し合うことが可能となる。また、渋滞時の荷物の輸送にはドローンなどを活用することによって、全体的に人やモノの輸送が柔軟に対応できるようになる注17


▼ 注11
ドライバー・ステータス・モニター:ドライバーの顔の向きなどをカメラで察知したり、居眠り運転を検出すると警告するモニター。
▼ 注12
おもてなしロボピン(Concierge Robopin)。「ピン」はWebの地図などで位置を示すピンの意味。

▼ 注13
JEITA:ジェイタ。Japan Electronics and Information Technology Industries Association、一般社団法人 電子情報技術産業協会。2000年11月に社団法人日本電子機械工業会(EIAJ)と社団法人日本電子工業振興協会(JEITDA)が統合して発足。日本の「IT・エレクトロニクス産業の発展」を通じて、日本経済の発展と文化の興隆に寄与することを目的に設立された団体。
http://www.jeita.or.jp/japanese/about/what/

▼ 注14
詳しくは、本誌運営のSmartGridフォーラムの下記サイトを参照。
http://sgforum.impress.co.jp/article/3476

▼ 注15
例えば、ドイツの「プラットフォームIndustrie 4.0」、米国の(IIC:Industrial Internet Consortium)、中国の中国製造 2025(Made in China 2015)、日本のIVI(Industrial Value Chain Initiative)など。

▼ 注16
「科学技術基本計画」(第5期):平成28(2016)年1月22日に閣議決定された。
Society 5.0には、狩猟社会(1.0)、農耕社会(2.0)、工業社会(3.0)、情報社会(4.0)に続く、新たな社会を生み出す変革を科学技術イノベーションが先導していく、という意味が込められている。「科学技術基本計画」の11ページ。
http://www8.cao.go.jp/cstp/kihonkeikaku/5honbun.pdf

▼ 注17
JEITAの「超スマート社会」実現に向けての取り組みは、『IoT、AIを活用した‘超スマート社会’実現への道 〜世界各国の政策と社会基盤技術の最新動向〜』として発行される予定である。
https://r.impressrd.jp/iil/society

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