[新動向]

電力自由化から6カ月後のアンケート調査結果

― 認知はされたが「メリットが不明や変更への不安感」が阻害要因 ―
2016/11/10
(木)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

経済産業大臣直属の組織である「電力・ガス取引監視等委員会」は、2016年4月1日から実施された、電力小売全面自由化が消費者に与える価値を分析するアンケート調査を行い、2016年10月7日、その結果を公表した。調査は、沖縄を除く国内の消費者を対象に、インターネットを通じて2016年9月に行われた(調査期間は2016年9月6日〜7日)。

電力の購入先を変更しない多くの理由

 経済産業大臣直属の組織である「電力・ガス取引監視等委員会」注1は、2016年4月1日から実施された、電力小売全面自由化が消費者に与える価値を分析するアンケート調査を行い、2016年10月7日、その結果を公表した。調査は、沖縄を除く国内の消費者を対象に、インターネットを通じて2016年9月に行われた(調査期間は2016年9月6日〜7日)。

 その結果、電力小売全面自由化から半年で90%以上の消費者が電力自由化を認知していることが明らかになったものの、電気の購入先を変更しない理由として、

(1)「メリットがよくわからない」が44.0%

(2)「なんとなく不安」が37.3%

が上位を占めた。このようなことから、電力自由化についての理解不足や不安感が、電気の購入先変更の阻害要因になっていることも判明した。

アンケート調査結果の注目すべき内容

 ここで、今回のアンケートの中で、特に興味深い内容について見ていく注2

(1)電力の小売自由化の認知は、90%以上(90.6%)に達する(図参照)。

(2)東京電力管内(31.2%)や関西電力管内(29.9%)は内容認知が約30%なのに対して、中国(18.0%)、四国(19.8%)、九州(18.5%)の各電力管内では20%を下回っており、地域差が現れている。

(3)非変更者は、購入先の比較検討を約30%近く(27.2%)が行っているが変更までには至っていない。

(4)電気の購入先を変更しない理由として、「メリットがよくわからない」(44.0%)「なんとなく不安」(37.3%)が多くあがっており、自由化についての理解不足や不安感が変更の阻害要因となっている。

(5)実際に電気の購入先を変更した人の80%以上(82.1%)が、変更時の手続きが簡単だったと感じている。

(6)電気の購入先または料金プランを変更後、約60%近く(57.7%)の人が自身の生活に関して何らか変化があったと感じており、その中でも「節電意識が高まった」(26.6%)などと感じている人が多い。

 小売電気事業者数は2016年10月時点で360社、「自由化のブーム」で終わらせないためには、双方にインセンティブが働くような仕組み作りがポイントとなる。


▼ 注1
電力・ガス取引監視等委員会:2016年4月1日に設置。2015年9月1日に設置された「電力取引監視等委員会」を改組した組織。

▼ 注2
詳細は以下を参照。
https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11450357/www.meti.go.jp/press/2016/10/20161007005/20161007005-1.pdf

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