[特集]

VPP・マイクログリッドで実現する「東松島市スマート防災エコタウン」

― CEMSで街の電力を最適制御し地産地消を実現 ―
2016/12/13
(火)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

東北地方を襲った東日本大震災(2011年3月11日注1)から5年半以上が経過したが、今も、現地では復興に向けて急ピッチな作業が続けられている。
ここでは、復興に向けてマイクログリッドによるVPP的なシステムを構築し、先進的な取り組みを行っている、宮城県東松島市の「東松島市スマート防災エコタウン」(日本初の電力・地産地消型、写真1)について、同市の取り組みとエコタウンを管理・運用する一般社団法人東松島みらいとし機構(HOPE、写真2)の活動を紹介する。

写真1 日本初の電力・地産地消型「東松島市スマート防災エコタウン」の全景

写真1 日本初の電力・地産地消型「東松島市スマート防災エコタウン」の全景

出所 「再エネを地域で活かし使う〜東松島市の挑戦〜」東松島市復興政策部復興政策課/一般社団法人東松島みらいとし機構、2016.11.21

写真2 東松島みらいとし機構「HOPE」の正面玄関

写真2 東松島みらいとし機構「HOPE」の正面玄関

出所 編集部撮影

東松島市の被災状況と復興への取り組み

〔1〕地域の「絆」:復興に向けて大きな役割

 宮城県東松島市注2は、宮城県のほぼ中央にあり、石巻市と日本三景の名勝地でもある松島町に隣接し、人口約3.9万人(震災前:4.3万人)の都市である。市の特産物としては、カキ(牡蠣)やノリ(海苔。皇室への献上物)などが有名で、現在も生産している。野蒜(のびる)地区は、まだ復興作業(堤防工事など)が終わってなく、平成30年(2018年)を目途に、海開きを目指して整備しているところである。

 震災前の東松島市は、年間110万人の観光客(海水浴、潮干狩り、遊覧船ほか)が訪れていたが、現在は30万人程度に落ち込んでおり、その回復が急務となっている。

表1 東松島市の被災状況[平成28(2016)年4月末現在]

表1 東松島市の被災状況[平成28(2016)年4月末現在]

出所 「再エネを地域で活かし使う〜東松島市の挑戦〜」東松島市 復興政策部復興政策課/一般社団法人東松島みらいとし機構、2016.11.21

 表1に、3.11東日本大震災によって、10m35㎝もの大津波が押し寄せた東松島市の被害状況(2016年4月末現在)を示すが、浸水地域は実に市街地の65%にものぼり、全国の被災市町村のなかで最大規模であった。

 具体的な人的被害は、死者と行方不明者24名を含めて計1,134人で、これは全住民の3%にも達している。家屋被害は計1万1,073棟で、全世帯の73%に達するほどの大きな被害であった。

 このような壊滅的な被害を受けた東松島市で、復興に向けて大きな役割を果たしたのは、地域の「絆」であった。これは、東松島市が、住民とともに震災前から地道に築き上げてきた、市民主体の自治活動の向上と充実をめざす「地域分権型」の新しいまちづくりであった。

〔2〕復興に向けた取り組みの特徴

 復興に向けて数々の努力がなされてきたが、何よりも困難とされてきた災害がれきの処理をはじめ、被災者の安全な場所への集団移転、住宅の再建(防災集団移転地の整備:2016年11月20日に100%完了)、産業の復興(農業・漁業:90〜100%復旧)は着実に進展してきた。

 さらに、震災を契機に、デンマーク王国皇太子の訪問をはじめ、台湾、フィリピン、インドネシアからの物資の支援、ドイツ・ボッシュグループの支援なども含めて、国際交流の取り組みも行われてきた。


▼ 注1
平成23(2011)年3月11日(金)14時46分に発生、マグニチュード:9.0(M9.0、最大震度:7)。M9.0は、日本における観測史上最大規模であった。なお、本誌が取材に訪れた翌日の2016年11月22日早朝(午前5時59分頃)に発生した福島県沖を震源とするM7.4(津波:1.4m)の地震は、3.11東日本大震災以降では、最大規模であった。気象庁によれば、この地震は、東日本大震災の余震と見られており、阪神大震災(1995年1月17日、M7.3)、熊本地震(2016年4月16日、M7.3)を上回る規模であったという。

▼ 注2
東松島市は、旧矢本町と旧鳴瀬町が平成17(2005)年4月1日に合併して誕生した。http://www.city.higashimatsushima.miyagi.jp/cnt/gaiyou/05_enkaku.html

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