[新動向]

「エネルギー」と「IoT」の融合が始まる2017年

―ガス小売全面自由化・VPP・ネガワット取引・改正FIT・LPWA―
2017/01/06
(金)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

2017年4月1日から、電力小売全面自由化に続いて、いよいよガス小売全面自由化がスタートする。これによって、日本でも電力とガスを統合した本格的な「総合エネルギー市場」が誕生する。すでに10年以上も前から、米国(ニューヨーク、1996年)、イギリス(1998年)、ドイツ(1998年)、イタリア(2003年)、フランス(2007年)などではガスの全面自由化が行われてきたが、日本も仲間入りすることになる。
このほか2017年は、電力システム改革の分野におけるVPP(仮想発電所)やネガワット取引、改正FIT法などに続いて、IoTを支える次世代無線通信網「LPWA」(省電力型広域無線網)サービスが開始されるなど、新しい展開が目白押しだ。ここでは、2017年の新しい動向を整理してとらえてみよう。

ガス小売全面自由化:市場規模は約2.4兆円

 2017年4月1日は、2016年4月1日の電力小売全面自由化に続いて、「電力、ガス、熱供給を一体的に改革する電気事業法等改正法」(2015年6月成立)に基づく、ガスの小売全面自由化がスタートする歴史的な日である。

 ガス事業の自由化は、すでに、大口需要家を皮切りに自由化が順次拡大し、1995年、1999年、2004年、2007年の4度にわたる大きな制度改革によって、ガス市場の63%までが自由化されてきた。

 今回で5度目となるガス小売全面自由化では、残り37%に相当する「2,400万件を超える一般家庭や120万件を超える小規模事業所」が、都市ガスの供給サービスを受ける事業者を自由に選択できるようになる。その新たな市場規模は、約2.4兆円にのぼると予測されている。これによって、日本でも電力とガスを統合した本格的な「総合エネルギー市場」がスタートする。

 2017年4月のガス小売全面自由化に先立って、経済産業省は、2016年8月1日から、ガス小売事業のビジネスを行う事業者の事前登録の申請受付を開始した。2016年12月13日時点で、表1に示すように事前登録者は合計8件となっている。

表1 登録ガス小売事業者一覧(2016年12月13日時点)

表1 登録ガス小売事業者一覧(2016年12月13日時点)

出所 http://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/gas/liberalization/entry/pdf/gas_retailers_list.pdfを一部修正して作成

ガスの託送料金の査定方針と託送料金

 また、ガス小売全面自由化に向けて、第61回電力・ガス取引監視等委員会が2016年12月7日に開催され、託送供給注1約款認可申請に関する審査方針を決定し注2、この査定方針を踏まえた託送料金単価(ガス1m3あたり)が決定された。

 例えば、表2に示すように、大手3社が申請した託送料金総原価に対して、査定による削減額は、東京ガス(東京地区等)が申請した託送料金総原価2,959億円に対して2.8%減の82億円、東邦ガスが745億円に対して2.6%減の19億円、大阪ガスが1,961億円に対して1.6%減の31億円となった。査定のポイントには、経営効率化や需要調査・開拓費、設備投資関連費用などが含まれている。

表2 大手3社が申請した託送料金総原価と査定方針を踏まえた託送料金単価(m3あたり)

表2 大手3社が申請した託送料金総原価と査定方針を踏まえた託送料金単価(m3あたり)

出所 第61回電力・ガス取引監視等委員会:「託送供給約款認可申請に係る審査について」、2016年12月7日、http://www.meti.go.jp/press/2016/12/20161207001/20161207001-2.pdfhttp://www.meti.go.jp/press/2016/12/20161207001/20161207001-1.pdf


▼ 注1
託送供給:ガス管を保有していないガス会社(新規参入事業者も含む)が他社のガス導管を使用(託送料金を払う)して、ガスを送るサービスのこと。

▼ 注2
http://www.meti.go.jp/press/2016/12/20161207001/20161207001-1.pdf

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