[特集]

神尾 寿の新ビジネス・モデル研究(3):GPS搭載義務化で活性化する位置情報ビジネス

2006/11/27
(月)
SmartGridニューズレター編集部

本連載では、通信・ITS分野の気鋭ジャーナリスト神尾 寿が、標準技術によって結実した新しいビジネス・モデルを分析していく。第3回目は、携帯電話への搭載が加速するGPS(全地球測位システム)を取り上げる。2007年4月のGPS搭載義務化により、キャリアのビジネス・モデルはどう変わり、位置情報ビジネスを巡るサービスはどのように拡大していくのか。現状とこれからの動きを追う。

民生利用が活発化するGPS

周知のとおり、GPS(Global Positioning System、全地球測位システム)は、高度2万km上空にある24基の人工衛星からなる位置測位システムである。もとは軍事用のシステムであるが、航空機や船舶、クルマのナビゲーションなど民生利用が活発化。

特にクルマ向けのカーナビゲーションは、日本で人気の高性能なAVN(Audio Visual Navigation : オーディオ一体型)タイプから、欧米で急成長中のPND(Personal Navigation Device : GPS単独簡易型ナビ)まで大きな市場を形成している。

携帯電話でも、GPSは成長分野になっている

この分野では、GPS測位技術に強いベンチャー企業だったスナップトラックを買収したクアルコムがリードしており、「gpsOne」という機能名で同社の携帯電話向け統合型コアチップ「MSMシリーズ」に搭載。日本市場では、クアルコムのチップセットを全面的に使うauがGPS対応機を積極的に展開している。auのGPS対応端末の稼働台数は2062万台、GPS端末の占める割合は84%に達している(2006年9月時点)。

一方、NTTドコモとソフトバンクモバイルは、2006年前半まで、GPSは一部の機種でのみ対応する"付加価値的な機能"だった。しかし、今年10月から発売されたドコモの「903iシリーズ」ではGPS機能が標準搭載になり、対応端末が一気に拡大。それにあわせてGPSを使ったコンテンツ・サービスも増加した。ソフトバンクモバイルも、今後、GPS搭載端末を増やしていく方針だ。

au以外のキャリアでもGPS対応端末が増えている背景には、2007年4月に施行される事業用電気通信設備規則の改正がある。この中に、携帯電話からの緊急通報時に位置情報を通知する機能の搭載が盛り込まれており、施行後に発売される3G携帯電話は、原則としてGPS機能の搭載が義務づけられた。

auは当初からGPSを活用した携帯電話サービス/ビジネスの展開に積極的だったが、他のキャリアはGPSのビジネス的な可能性に懐疑的な見方が強かった。しかし、それでもドコモが903iシリーズでGPS機能を標準採用したのは、MNPに向けてauに劣る部分をなくすという商品戦略的な事情と、2007年以降のGPS搭載義務化に向けた準備からである。

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