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NEDO、電子デバイス技術の用途拡大に向け新たに6テーマに着手

2015/06/30
(火)
SmartGridニューズレター編集部

2015年6月30日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下:NEDO、神奈川県川崎市)は、省エネルギーに資するクリーンデバイス※1を活用した製品、サービスの新市場の創出と拡大を図り、実証事業を開始している5テーマに、新たに6テーマを加えることを発表した。

同事業は、省エネルギーに資するクリーンデバイス(高周波半導体、不揮発メモリ、光エレクトロニクス技術、低電力LSI、パワーデバイス、環境発電デバイスなどの省エネルギーに資する革新的デバイス)を、従来利用を想定してきた機器などだけではなく、さまざまな製品・サービスへと拡大し、省エネルギー効果を最大限に活用することを目的に2014年度から5テーマの実証事業を開始している。

NEDOでは、引き続き、クリーンデバイスを活用したユースケースを創出し、ユースケースの実装・実証および信頼性・安全性や標準化・共通化の方針策定を行い、クリーンデバイスの用途拡大に繋げるために、ディスプレイ/サイネージ、医療機器、自動車/プラント、情報サービス、電源機器、給電装置などの新規のアプリケーションをユースケースとした6テーマを追加採択した。

2015年度事業規模は、約20億円、新たなテーマは2015年度から2016年度の2年間の実施を予定する。
 図 事業イメージ

新たな採択テーマ

  • デザイン多用途型省エネディスプレイ:
    既存のディスプレイにはない特徴(透明性など)を持もつ新たなディスプレイを用いた窓や案内表示や広告、店舗などの窓、百貨店のショーウィンドウのサイネージなどで社会適用性を検証する。
     
  • 電気光学結晶KTNを用いた革新的光デバイスを活用しレーザー産業分野における幅広い領域で新規市場を創出:
    電気光学結晶を用いた光デバイスは、レーザーのパワーや方向を高速に制御する光デバイスで、従来デバイスの100倍の高速化、1/100の小型化、省電力化が可能。高精度・高性能を要求される生物用多光子吸収レーザー顕微鏡や医療用診断装置である光干渉断層計などへの適用により実用性を実証する。
     
  • 熱発電デバイスによる中温度域独立給電型センシングモジュールの用途開拓:
    従来にない、高効率・低環境負荷を実現する中温度域源(300℃~600℃)の「熱電池デバイス」をコアとする独立給電型センシングモジュールを実装し、エンジンおよびボイラーの高効率制御に必要な稼働パラメータのモニタリングシステムの実証を行う。
     
  • クリーンビーコンを用いたヒューマンナビゲーション社会実装実証事業:
    屋内低照度下の環境発電により無給電化したクリーンビーコンを用いて、2020年を目処とした大規模スポーツイベント開催に先立ち、安心できる防災対策の必要性などを背景に活用が期待されるスマートフォンなどを活用した多言語観光サービス、災害時避難誘導支援、商業施設館内誘導にてクリーンビーコンの信頼性や、クリーンビーコンによるヒューマンナビゲーションの有効性を実証する。
     
  • 次世代半導体を用いた超小型電力変換モジュールの多用途社会実装:
    環境エネルギー、高度医療システム、次世代自動車分野の定置用蓄電システム、医療用加速器電源、車載充電器、急速充電器などの電力変換部を想定し、共通ニーズを目標仕様とした次世代半導体であるSiC※2を用いた「超小型電力変換モジュール」を小型・高効率の医療用加速器電源での実証実験により妥当性を見極める。
     
  • 省エネ社会を支えるユビキタス給電インフラを実現する窒化物半導体小型電源モジュール:
    GaN※3on Siパワートランジスタをクリーンデバイスとして、高電圧出力給電装置内の電源ユニットを構成する電源モジュールをユースケースと位置付け、その小型化による省エネ効果・省資源化効果を実証する。

※1 クリーンデバイス:実用化間近で、社会に実装されることで省エネルギー効果が期待される最新の電子デバイスと定義している。

※2 SCI:シリコンカーバイド(炭化ケイ素)。ケイ素と炭素の化合物で、これを用いて作った半導体デバイスと従来のシリコン半導体デバイスを比べると、内部の電力損失が1/100と小さく、高い周波数・高い温度(300℃程度まで)で使用することができる。

※3 GaN:窒化ガリウム。SiCと同様に、従来のシリコン半導体デバイスと比べ絶縁耐圧性能に優れるなど、優れた性能を有する材料として期待されている。

 

■リンク
NEDO

 

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