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MIIAと日立、40%の低濃度バイオエタノールを用いた発電システムを試作

2016/02/08
(月)
SmartGridニューズレター編集部

2016年2月8日、一般社団法人宮古島新産業推進機構(以下:MIIA、宮古島市城辺字砂川、代表理事:奥島 憲二)と、株式会社日立製作所(以下:日立、東京都千代田区、執行役社長兼COO:東原 敏昭)は、40%の低濃度バイオエタノール燃料で発電する高効率な発電システムを試作したことを発表した。

同発電システムの発電機に搭載したエンジンは、排熱を利用して低濃度バイオエタノール燃料から水素を発生させ、低濃度バイオエタノールと水素を燃焼して動かすことで、動力変換効率※1を高めている。40kWの発電システムで実証実験を行ったところ、45%の動力変換効率が得られることを確認している。また、燃料に用いたバイオエタノールは、40%と低濃度であり、危険物として扱う必要がなく、安全性を確保したものである。宮古島産のサトウキビ由来の廃糖蜜※2を原生酵母※3で発酵させた後、蒸留を行って効率的に製造し、従来方法※4で低濃度バイオエタノールを製造する場合に比べ、約40%のエネルギー削減を達成している。
同成果は、これまで主に自動車燃料に利用されてきたバイオエタノールの用途を発電分野へと広げ、今後CO2排出量の削減効果が大きな地域分散型発電の実用化研究開発への礎となるものである。
 図 低濃度バイオエタノール燃料製造から発電までの流れ

昨今、CO2排出量削減に向けた再生可能エネルギー導入の動きが世界中で加速している。サトウキビやトウモロコシを原料とするバイオエタノール燃料は、大気中のCO2総量に影響を与えないカーボンニュートラル※5な燃料であり、米国、ブラジル、欧州、東南アジア諸国等で自動車ガソリン混合用の燃料として利用されている。現在、自動車向けに使われているのは、農作物を発酵させた後に蒸留、脱水、濃縮の工程を繰り返して生成される濃度90%以上のバイオエタノール燃料である。今後、バイオエタノール燃料の用途を拡大していくためには、危険物として扱う必要がなく安全性を確保した60%未満の低濃度のバイオエタノールで稼働するエンジン技術と、燃料となる低濃度バイオエタノールを効率的に製造する技術の開発が求められていた。
そこでMIIAと日立は、低濃度バイオエタノールを用いた発電システムの開発に取り組み、日立が40%の低濃度バイオエタノールを用いて発電する高効率なエンジン技術を、MIIAがこれに用いるバイオエタノールを効率的に製造する技術を開発した。(技術詳細は下記リンク先を確認)


※1 動力変換効率:(エンジン出力)/(投入エタノールエネルギー)で定義

※2 廃糖蜜:サトウキビなどの搾汁糖液から、砂糖を結晶させたあとに残る液

※3 原生酵母:その土地の自然界に住んでいる品種改良していない酵母

※4 従来方法:ここでは、蒸留塔方式をさす

※5 カーボンニュートラル:排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素が同じ量である状態

■リンク
日立

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