[ニュース]

IoT機器の開発期間短縮に効果あり、安価で簡単に使える通信テストツールが登場

2016/11/17
(木)
SmartGridニューズレター編集部

ユードムは、通信テストツール「SocketDebugger」を発売した。

ユードムは2016年11月16日、通信テストツール「SocketDebugger」を発売した。同社のWebサイトでダウンロード販売の形で提供する。価格は個人ライセンスが5400円(税込)で、法人ライセンスが3万2400円(税込)。Windows 10/8/7/Vista/XP/2000/NTで動作する。

通信機能を持つ機器やプログラムの開発過程で実施する通信テストに利用することを想定したツール。機器やプログラムに実装する通信機能をテストする際の通信相手(シミュレータ)として利用できる。通信テストで通信相手となるシミュレータを構築するには、テスト用のプログラムを作成する必要があるが、この作業には長い時間が必要だ。1週間ほどかかることも多い。

SocketDebuggerは、TCP/IP、UDP、シリアル通信(RS-232Cなど)の基本的な機能を備えており、通信相手となるシミュレータ代わりとして利用できる。ユードムは、このツールを使うことでシミュレータを用意するための時間を半日程度に短縮できるとしている。手軽に通信テストができるようになると、開発の初期段階からテストを実施して、間違いがないことを確認しながら開発を進められる。その結果大幅な手戻りがなくなり、開発期間とコストを圧縮できる。

設定したサイズのデータを送るなどの単純なテストなら、GUIの簡単な操作だけでテストの準備ができる。通信相手を確認してデータを送り、受け取った側がデータを検証し、受け取ったことを知らせるという具合にいくつもの手順を踏む通信のテストも可能。このときは手順をスクリプトで記述して実行する。スクリプトはLua言語で作成する。比較的学習が容易な言語であり、慣れれば短時間で複雑なスクリプトを作れるようになる。

図 単純なテストならGUIの簡単な操作で済む

図 単純なテストならGUIの簡単な操作で済む

出所 ユードム

1対1の通信だけでなく、1対多の通信のテストも可能だ。ScriptDebuggerのプロセスを複数起動すれば、通信相手となる複数のシミュレータとして利用できる。IoTのセンサー機器が、サーバーにデータを送る通信は1対多となることが多い。このような場面を想定したテストも簡単に実施できる。テストの過程でシミュレータ側が受け取ったパケットをキャプチャする機能も持っているので、問題が発覚したときにパケットを1つ1つ調べて原因を探っていくことも可能。

図 パケットキャプチャの機能も持っている

図 パケットキャプチャの機能も持っている

出所 ユードム

仕様が明らかになっているプロトコルなら、スクリプトを編集することで対応できる。しかし、複雑なプロトコルに対応するスクリプトを作るのは面倒な作業になる。そこでユードムはいくつかのプロトコルに標準で対応する予定を立てている。今回発売するバージョンでは産業機器向けの標準的なプロトコルである「FL-net」に対応した。今後は自動車制御での利用例が多い「CAN(Controller Area Network)」や、IoT通信に向く軽量プロトコル「MQTT(MQ Telemetry Transport)」などに対応していく予定。

SocketDebuggerには機能を限定した無料版もある。ユードムのWebサイトでダウンロードできる。無料版は通信テスト時の設定や、テストに利用するスクリプトを保存できない。パケットキャプチャの機能も省いてあり、複数のプロセスを同時に起動することもできない。


■リンク
ユードム

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