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自己託送制度を利用して4工場の消費エネルギーを「全体最適」に、日立が群馬の4工場で実施へ

2016/11/28
(月)

日立製作所と日立キャピタルは、日本キャンパックが群馬県に保有する4工場の消費エネルギー量を最適な値に抑え、全体消費量を削減するための設備工事を開始したと発表した。

日立製作所と日立キャピタルは2016年11月28日、日本キャンパックが群馬県に保有する4工場の消費エネルギー量を最適な値に抑え、全体消費量を削減するための設備工事を開始したと発表した。この工事は日立製作所と日立キャピタルが2016年3月に日本キャンパックと交わした契約によるもの。

日本キャンパックは群馬県邑楽郡に「群馬第1工場」「群馬第2工場」「利根川工場」の3工場を、群馬県前橋市に「赤城工場」を保有している。邑楽郡にある3工場は隣り合う場所に立地しており、これまでは利根川工場に設置したガスタービンコージェネレーションシステムで電力と蒸気を作り、群馬第1工場と群馬第2工場にも配分していた。隣り合う場所にあるので、電力は自営線で送り、熱も自社設備で送っている。一方で前橋市にある赤城工場は3工場からかなり離れているので、赤城工場専用にガスエンジンコージェネレーションシステムを持ち、電力と熱を作っている。

4カ所の工場では、それぞれ電力と熱を最適な形で使うためにコージェネレーションシステムの運転を制御していた。しかし、それぞれの工場で生産する品目や生産量が変化すると、必要な電力と蒸気が変動し、各工場のエネルギー需給のバランスが悪くなるという課題を抱えていた。

そこで、群馬第1工場に新たにガスタービンコージェネレーションシステムとガスエンジンコージェネレーションシステムを建設することにした。発生した蒸気は近隣の3工場で分配するが、電気は前橋市にある赤城工場にも分配するようにした。赤城工場への分配には電力会社の系統網を利用して電力を送る「自己託送制度」を利用する。

図 群馬第1工場に新設するコージェネレーションシステムによる電力は、隣接する工場だけでなく、赤城工場にも自己託送制度を利用して送る

図 群馬第1工場に新設するコージェネレーションシステムによる電力は、隣接する工場だけでなく、赤城工場にも自己託送制度を利用して送る

出所 日立製作所

さらに日立製作所はエネルギーと設備を管理するシステムを導入し、4カ所の工場のエネルギーを一括管理し、供給を制御する。以上の改良で、4工場の年間消費エネルギー量を16%削減し、CO2排出量を16%削減するとしている。

今回の事業は日本キャンパックが節約できたエネルギーコストから、日立製作所と日立キャピタルが報酬を受け取るESCO(Energy Service Company)事業となる。そして、改修工事の費用をESCO事業者である日立製作所と日立キャピタルが負担する「シェアードセービング方式」を採る。設置したコージェネレーションシステムは日立キャピタルが保有する。日本キャンパックは節約できたエネルギーコストから、工事にかかった初期費用と金利を返済する。残りは日立製作所、日立キャピタル、日本キャンパックの3社で契約に基づく形で配分する。


■リンク
日立製作所
日立キャピタル

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