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トヨタ、人工知能で「運転者の感情や思いを理解する」コンセプトカーを公開

2017/01/05
(木)
SmartGridニューズレター編集部

トヨタ自動車は、人工知能を搭載する自動車のコンセプトモデル「TOYOTA Concept-愛i(コンセプト・アイ)」を公開した。

トヨタ自動車は2017年1月5日、人工知能を搭載する自動車のコンセプトモデル「TOYOTA Concept-愛i(コンセプト・アイ)」を公開した。1月5日~8日の日程で開催中の2017 International CES(ネバダ州ラスベガス)にこのコンセプトモデルを出展している。

図 トヨタ自動車が公開したコンセプトモデル「TOYOTA Concept-愛i」

図 トヨタ自動車が公開したコンセプトモデル「TOYOTA Concept-愛i」

出所 トヨタ自動車

このコンセプトモデルの最大の特徴は、人工知能を搭載し、運転者の感情や嗜好、思いを理解し、提案する力を持っている点にある。運転者の表情や動作、覚醒度、SNSへの発信履歴、人工知能との会話履歴などのデータを蓄積して、運転者の嗜好を推定し、気持ちを理解して先回りした提案を出す。

具体的には、運転者の感情や覚醒度に応じて、運転者の嗜好に応じた話題で会話したり、運転者が高い関心を持つと考えられるニュースを自動車が提示するなどの形で、双方向の自由な会話に応じる機能を持つ。

また、運転者の嗜好や感情などのデータはクラウドに集積して、解析して利用する。例えば、遠回りになるが楽しめる走行ルートを提案するなどの形で、ほかの運転者の経験、感情、嗜好のデータを利用する。

高度な自動運転技術も搭載する。自動運転技術に運転者を理解する技術を組み合わせることで、運転者に安全だけでなく、安心も提供する。自動車周辺の状況を把握するだけでなく、運転者の感情や自動運転技術に対する信頼度を検知する。そして、車線を逸脱するなど運転者が危険な運転を始めそうになったときは、自動運転モードに自動的に切り替えて安全を確保する。また、運転者が感じているストレスの度合いも検知し、運転者が運転に不安を感じ始めたら自動運転モードへの切り替えを提案するなどの機能を持つ。

運転中の運転者に対しては感情や疲労度、覚醒度を判断して、視覚や触覚などに働きかけて神経を刺激する。覚醒度が下がりつつあるときは、青色の光や運転席からの触覚フィードバックで交感神経を刺激して覚醒度を高める。反対に運転者をリラックスさせるときは暖色のゆらぎのある光や、香り、ゆったりとしたテンポの楽曲などを利用して副交感神経が優位な状態に導く。

図 コンセプトモデル「TOYOTA Concept-愛i」の運転席

図 コンセプトモデル「TOYOTA Concept-愛i」の運転席

出所 トヨタ自動車

運転者についての情報を集めて、理解度を深めるのは主に「エージェント」の役目となる。エージェントは、運転者が運転席にいるときは運転席の目の前にある計器盤に位置しているが、自動車の外装や、自動車から離れてネットワークにつながった情報端末などにも登場する。運転者の行動に応じて、エージェントが移動し、運転者により長い時間寄り添うことで、運転者に対する理解が深まり、自動車と運転者の心理的、感情的な距離が近づき、現在の運転者と自動車の関係を超えた、仲間(パートナー)のような関係を構築していくという。

トヨタ自動車は、このコンセプトモデルが同社独自の自動運転に対する考え方である「Mobility Teammate Concept」を具現化した自動車になるとしている。Mobility Teammate Conceptとは、単に自動的に目的地まで自動車を安全に走らせるだけでなく、「人と自動車が同じ目的を目指し、ある時は見守り、ある時は助け合う、気持ちが通った仲間(パートナー)の関係を築く」という考え方だ。

トヨタ自動車は、公道上でこのコンセプトモデルの実証実験を今後数年のうちに実施することを計画している。このコンセプトモデルで提案した技術の一部を搭載した実験車両が、日本の都市を走る予定だという。


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