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電気自動車の使い古しの蓄電池を定置用蓄電池として再利用、山口県が実証実験実施

2017/02/21
(火)
SmartGridニューズレター編集部

山口県は、電気自動車から取り出した使用済み蓄電池を定置型蓄電池として再利用する実証実験を2月中に開始すると発表した。

山口県は2017年2月17日、電気自動車から取り出した使用済み蓄電池を定置型蓄電池として再利用する実証実験を2月中に開始すると発表した。実験では、太陽光発電設備も組み合わせて、省電力効果も検証する。

山口県の委託を受けて今回の実験を担当するのはフォーアールエナジー、長州産業、山口県産業技術センター。加えて、山口東京理科大学工学部機械工学科の貴島孝雄教授が参加する。貴島教授は自動車工学を専門としており、電気自動車から蓄電池を取り出す工程などについて助言する。

さらに、山口大学大学院技術経営研究科の福代和宏教授が実験全体の取りまとめ役として参加する。福代教授はエネルギーや建築環境などを専門としており、実験全体の行程について助言するほか、実験の途中経過をまとめた報告書の作成を担当する。報告書は県に提出し、県は実験の結果を適宜県民に公開する。

電気自動車から取り出した使用済み蓄電池の回収及び調達は、フォーアールエナジーが担当する。フォーアールエナジーは日産自動車が51%、住友商事が49%出資して設立した企業であり、日産自動車と深いつながりがある。フォーアールエナジーはそのつながりを活かして、日産自動車が販売している電気自動車「LEAF」「e-NV200」から取り出した使用済み蓄電池を集める。蓄電池に併設する太陽光発電設備は長州産業が設置する。

図 電気自動車から取り出した蓄電池を定置用蓄電池として再利用する

図 電気自動車から取り出した蓄電池を定置用蓄電池として再利用する

出所 山口県

フォーアールエナジーは、日産自動車が電気自動車に設定している保証制度によって、蓄電池交換となった車両から使用済みの蓄電池を集める。日産自動車は購入後5年間あるいは10万km走行のどちらかの時点に達した電気自動車を対象に、搭載するリチウムイオン蓄電池を交換する保証制度を用意している。対象となる車両は、先述の条件を満たした上で、満充電状態にしても、蓄電池の充電状態を示す12段階のインジケーターが8以下にしかならないものだ。この場合、無償で蓄電池を交換する。また、数は少ないが利用者の強い希望で有料で蓄電池を交換することもある、これによって発生する使用済み蓄電池も利用する。さらに、廃車になった車両の蓄電池がまだ利用できる状態ならば、これも集める。今回は、搭載する蓄電池の蓄電容量が24kWhの車種から出てくる使用済み蓄電池を利用する。

こうして取り出した使用済みの蓄電池は、新品と比べると蓄電容量が7~8割になっている。蓄電容量がそのまま走行可能距離に直結する電気自動車では、7~8割への性能低下は大きな問題だが、まだ7~8割は利用できるとも言える。従来、交換で発生した使用済み蓄電池は、溶融処理などでリサイクルしていたが、リサイクル前にリユース(再利用)しようというのが、今回の取り組みだ。

回収した使用済み蓄電池は、分解してリチウムイオン蓄電池セルを取り出す。そのセルを定置用蓄電池のパッケージに詰め込んで利用する。蓄電容量は9.6kWhとなる。これに、出力が2.56kWの太陽光発電設備を組み合わせる。実験では、電気自動車の使用済み蓄電池が定置用蓄電池として役立つのかという点と、太陽光発電設備と組み合わせることによる節電効果を検証する。蓄電池と、太陽光発電設備は山口県立美祢青嶺(みねせいりょう)高等学校内の大気測定局に設置する。実験期間は2年間の予定。

図 蓄電池と太陽光発電設備を設置した位置とその写真

図 蓄電池と太陽光発電設備を設置した位置とその写真

出所 山口県

山口県は今回の美祢青嶺高等学校における実験に先立って、山口県産業技術センター内の試験場にほぼ同様の機器を設置して実験を始めている。この実験は2016年10月に始まっている。使用している蓄電池の蓄電容量は8.4kWhで、太陽光発電設備の最大出力は4.1kWだ。山口県は2カ所で実験を続け、その効果を確かめ、結果を県民に広く周知することで、このシステムを利用した新しい産業を始めようという事業者が現れ、県内の産業振興につながることを期待しているという。


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