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太陽光のエネルギーでRaspberry PiベースのIoT機器が動き続ける、メカトラックスが屋外設置用キットを発売

2017/02/22
(水)
SmartGridニューズレター編集部

メカトラックスは、「Raspberry Pi」を屋外で稼働させるためのキットを発売した。

メカトラックスは2017年2月21日、小型コンピュータ「Raspberry Pi」を屋外で太陽光のエネルギーを電源として稼働させるためのキット「ラズベリーパイ屋外稼動キット」を発売した。価格は19万8000円(税別)。Raspberry Pi本体に防水ボックス、太陽光発電モジュール、鉛蓄電池などをセットにして提供する。

図 「ラズベリーパイ屋外稼動キット」の外装。太陽光発電モジュールが目立つ

図 「ラズベリーパイ屋外稼動キット」の外装。太陽光発電モジュールが目立つ

出所 メカトラックス

Raspberry Piは、ARMコアのSoCを搭載した小型コンピュータ。英Raspberry Pi Foundationが開発し、提供している。Debianを基にした「Raspbian」というLinuxを簡単な操作でインストールでき、C/C++やPythonといった広く普及している言語でプログラムを開発できることから、コンピュータを趣味とする層に人気がある。

また、サードパーティーがいくつもの拡張ボードを開発し、販売している。Raspberry Piの拡張ピンにボードを差し込むことで液晶ディスプレイや無線通信などの機能を容易に追加できる。Raspberry PIは利用者が多く、ライブラリやサンプルコード、開発に役立つ情報が多く揃っているので、最近ではIoTを活用したビジネスを模索する企業がセンサー機器のプロトタイプ作成に利用する例も増えている。また、小ロットのセンサー機器を、Raspberry Piを基に制作する例もある。

今回メカトラックスが発売したキットは、「Raspberry PIを屋外で稼働させたい」という要望に応えて開発したもの。屋外で稼働させるために工夫した点は3点。1点目は雨風にさらされても動作し続けること。このために、Raspberry PI本体を防水型カメラと同等である「IP66」規格に準拠する防水ボックスに収めた。

図 防水ボックスを開けたところ

図 防水ボックスを開けたところ

出所 メカトラックス

2点目は「電源」。外部から電源を引くことなく動作させ続けるために、出力20Wの太陽光発電モジュールと、蓄電容量が20Ahの鉛蓄電池を装備した。また、独自開発の電源管理モジュール「slee-Pi」を搭載し、10分間のうち1分間のみ動作する「間欠運転」を可能とした。間欠運転によって、通常運転に比べて電力消費量をおよそ80%削減できるという。これなら、小さい太陽光発電モジュールによる電力でも動かし続けることが可能だ。

図 独自開発の電源管理モジュール「slee-Pi」

図 独自開発の電源管理モジュール「slee-Pi」

出所 メカトラックス

3点目は「通信」。屋外で利用できるさまざまな通信方法を検討し、最も便利に使えるものとして、3G通信を選んだ。この機能を持たせるために、Raspberry PIに独自開発の3G通信モジュール「3GPi」を搭載した。

このモジュールはソラコムが提供しているIoT向け通信サービス「SORACOM Air for セルラー」で通信できる機器としてソラコムの認定を受けているほか、ソフトバンクの「M2Mサービス」で利用できる機器として認定を受けている。ほかにも、インターネットイニシアティブやNTTコミュニケーションなどが提供するSIMで動作することを確認している。さらに、Microsoftの「Azure Certified for IoT」の認定も受けており、Azureへ比較的容易に接続できる。メカトラックスはAzureに限らず、各種パブリッククラウドへの接続実績もかなりあるとしている。

図 独自開発の3G通信モジュール「3GPi」

図 独自開発の3G通信モジュール「3GPi」

出所 メカトラックス

防水ボックスの内部にはセンサーやデータロガーの基盤なども格納できるよう、スペースに余裕を持たせている。また、ボックス下部には防水加工を施したケーブル引き出し口を8つ用意している。センサーを外部に出す場合などに、この引き出し口を便利に使える。

メカトラックスは今回のキット販売を計器に、同社が開発販売しているRaspberry PI向け周辺機器を大きくアピールしていく構えを見せている。また、IoT/M2Mなどの情報通信市場の活性化に向けて活動していくとしている。


■リンク
メカトラックス

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