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燃やしにくかった竹を改質してバイオマス燃料に、日立が開発した技術を発表

2017/03/14
(火)
SmartGridニューズレター編集部

日立製作所は、竹を改質して木質バイオマスと同等に扱えるようにする技術を開発したと発表した。

日立製作所は2017年3月9日、竹を改質して木質バイオマスと同等に扱えるようにする技術を開発したと発表した。従来、竹はバイオマス燃料とするには問題があり、燃料として活用することはできなかった。今回、日立製作所はその問題を明らかにし、解決した。

竹がバイオマス燃料に向かない理由は「カリウム」と「塩素」を大量に含有しているという点にある。カリウムを大量に含む竹をボイラーで燃焼させると、灰が溶けて融合し、「クリンカ」という塊を形成してしまう。これは、竹の灰の軟化が始まる温度が、木質バイオマスと比較して低いためだ。また、塩素を含む竹を燃焼させるとダイオキシンを発生させてしまう。言うまでもなくダイオキシンは大気を汚染する有害物質だ。また、塩素はボイラーなどの燃焼設備を腐食させ、劣化を早める。

日立製作所は以上のような竹の性質を見て、竹からカリウムと塩素を取り除く方法を考えた。そこでヒントとなったのが、竹のような成長の早い植物特有の性質だ。断面を見ると細かい孔が無数に開いている「多孔質」な繊維で構成されている。カリウムと塩素は水溶性の物質だ。竹を粉砕して細かい粒にして水に浸せば、孔の中にあるカリウムと塩素が溶け出すと考えたのだ。日立製作所は今回、竹を粒径6mm以下の微粒子になるまで粉砕し、水に浸してカリウムと塩素を水中に溶け出させた。その後、竹の微粒子を引き上げて脱水させたところ、カリウムと塩素の濃度が下がっていた。燃焼させても溶けて融合することはなく、ダイオキシンの発生量も、木質バイオマスを燃焼させたときと同等のレベルに抑えることができたとしている。そして、この技術は孟宗竹、真竹、淡竹、笹といった竹類だけでなく、雑草類や未利用の杉の皮にも有効に活用できることを確認したという。

図 竹を改質する手順

図 竹を改質する手順

出所 日立製作所

竹から成分が溶け出した水を対象に、50項目の有害物質分析を実施したところ、問題となる有害物質は検出できなかった。さらに成分を調べると、微量の窒素とリン酸を確認できた。窒素とリン酸はカリウムと合わせて「肥料の3要素」とも呼ぶもので、植物の育成に役立つものだ。そこで、抽出したものを濃縮して栽培中の小松菜に与えたところ、無添加の小松菜に比べて1~2cmほど高く成長したという。重量を比較すると、無添加の小松菜に比べて24%~44%重かったそうだ。

竹を破砕する方法にも新たな発見があった。従来、竹は表面にケイ素が存在し、このケイ素が破砕する刃の摩耗を早めているというのが一般的な考えだった。しかし、調べてみると竹に表面にはケイ素がそれほど存在していない。竹が刃を摩耗させると言われる原因はほかにあると考えて調べたところ、2つの要因が明らかになった。1つ目は竹の外面が弾性体となっており、刃が当たると横滑りし、その結果刃先が欠損するということ。もう1つは、竹に付着した泥、小石、砂などによって竹と刃の間で摩擦が発生し、刃を劣化させているということだ。

そこで、竹を破砕する際にはまず表面と端部の泥、小石、砂などを丁寧に取り除いた。さらに破砕前に竹を縦に割って短冊状にし、刃が竹の外面ではなく、内面に当たるようにした。この結果、刃の摩耗を抑えることができたとしている。

日本では戦後、タケノコの栽培や竹材の利用を目的として、竹の栽培が急速に進んだ。しかし近年は需要が減少し、手入れが行き届いていない竹林が増えている。竹は成長力が非常に強く、その根も地中に広く伸びる。その結果、竹の周囲では樹木が成長しにくくなってしまい、枯れてしまう。今回日立製作所が開発した技術には、CO2排出量を削減する効果だけでなく、竹林を健全な状態に保つ動きを促進させる効果もあると言えるだろう。


■リンク
日立製作所

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