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岡山県で進行中の日本最大メガソーラー建設計画、津波対策の防潮堤補強工事が完了

2017/04/06
(木)
SmartGridニューズレター編集部

瀬戸内Kirei未来創り合同会社は、岡山県瀬戸内市に建設中のメガソーラーの建設工事の進捗を発表した。

瀬戸内Kirei未来創り合同会社は2017年4月5日、岡山県瀬戸内市に建設中の大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設工事の進捗を発表した。同市の錦海(きんかい)塩田跡地に出力約235MWのメガソーラー「瀬戸内Kirei太陽光発電所」を建設しようという計画だ。完成すれば、日本最大のメガソーラーとなる。瀬戸内Kirei未来創り合同会社は瀬戸内Kirei太陽光発電所の建設と運営のためにGEエナジー・フィナンシャルサービス、東洋エンジニアリング、中電工、くにうみアセットマネジメントが出資して設立した会社だ。

現在は2019年春の運転開始を目指して建設を進めているところだが、津波対策の錦海湾防潮堤補強工事が完了した。合わせて錦海湾北東端にある玉津港(たまつこう)と、南東端にある師楽港(しらくこう)の防潮堤と防潮扉の新設工事が完了した。今後高い確率で発生すると考えられる南海トラフ地震による津波と、地震後の高波を防ぐための設備だ。完成した防潮堤と防潮扉は地元瀬戸内市に寄贈した。

図 補強工事完了後の錦海湾防潮堤。左側が錦海湾

図 補強工事完了後の錦海湾防潮堤。左側が錦海湾

出所 瀬戸内Kirei未来創り合同会社

錦海湾防潮堤補強工事では、防潮堤内側に広がる塩性湿地の環境を保護するために工法を工夫した。防潮堤の下、海中から塩性湿地から流れ込む海水を妨げないように、板ではなく鋼管で防潮堤を支える構造とした。塩性湿地に生息する生物、植物のために環境を維持する方策だ。防潮堤補強工事、新設工事、防潮扉設置工事は清水建設が担当した。

瀬戸内Kirei太陽光発電所は錦海湾防潮堤から見て、塩性湿地の先に建設している。約500ha(500万m2)の塩田跡地のうちおよそ265ha(265万m2)を使ってメガソーラーを建設中だ。設計、調達、施工(EPC:Engineering、Procurement、Construction)は東洋エンジニアリングが担当する。

図 瀬戸内Kirei太陽光発電所の完成予想図

図 瀬戸内Kirei太陽光発電所の完成予想図

出所 瀬戸内Kirei未来創り合同会社

太陽光発電モジュールは中国Trina Solar社と、中国Yingli Green Energy社の製品を併用する。設置する枚数は約90万枚。パワーコンディショナーは東芝三菱電機産業システムの製品と、米General Electric社の製品を採用する。

発電所の最大出力は約235MW(23万5000kW)。瀬戸内Kirei未来創り合同会社は年間発電量を、一般世帯の年間電力消費量の7万件分になるとしている。資源エネルギー庁が試算した一般世帯の年間電力消費量は、3600kWh。この数字を当てはめると、瀬戸内Kirei太陽光発電所の年間発電量はおよそ260GWh(2億6000万kWh)となる。発電した電力は再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を利用して全量を中国電力に売電する。売電単価は1kWh当たり40円(税別)。


■リンク
瀬戸内Kirei未来創り合同会社
くにうみアセットマネジメント

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