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太陽光発電設備と蓄電池を活用して買電量30%削減を目指す、日立パワーソリューションズが実証試験開始

2017/04/10
(月)
SmartGridニューズレター編集部

日立パワーソリューションズは、太陽光発電設備と蓄電池、EMSを活用して、年間買電量30%削減を目指す実証試験を開始したと発表した。

日立パワーソリューションズは2017年4月5日、太陽光発電設備と蓄電池、EMS(Energy Management System)を活用して、年間買電量30%削減を目指す実証試験を開始したと発表した。試験期間は2018年3月までの1年間。日立パワーソリューションズの主要拠点の1つである「大みか別館(茨城県日立市)」に出力100kWの太陽光発電設備と、蓄電容量50kWh蓄電池を設置し、EMSで蓄電池と建物内の空調や照明などの制御を始めた。

日立パワーソリューションズは建物単位で電力消費量を制御するEMSを多数納入してきた実績と、工場や商業施設などさまざまな建物を対象に省エネルギー診断サービスを提供してきた実績とノウハウを持っている。しかし、各企業が講じてきた省エネ対策の設備更新が行き詰まってしまったという例も増えている。

そして政府は自家消費向けの太陽光発電設備導入拡大を目指した補助金制度を施行した。これまでは売電目的で導入することが多かった太陽光発電設備を、自家消費向けに導入しようという動きが始まっている。電力需要の平準化を狙って蓄電池を導入する動きもある。日立パワーソリューションズも、風力や太陽光発電の設備、蓄電池を多数納入してきた。

今回の実証試験は、日立パワーソリューションズがEMSや太陽光発電設備、蓄電池の納入で得たノウハウと、省エネルギー診断サービス提供で得たノウハウを活かして、自家消費向け太陽光発電設備の電力を最大限活用することを目指したものだ。試験の場となった大みか別館では、電力消費量の推移を表示する装置を取り付け、2010年から消費量データを蓄積している。今回の実証試験では、この蓄積したデータも活用する。

実証試験では、毎日の天候情報や過去の電力消費量データから、その日の電力需要を予測し、気候、日照などのデータから太陽光発電設備の1時間ごとの発電量を予測する。両方の予測データから1日の電力需要を予測して、需要モデルを作成する。さらに、電力需要や発電予測から蓄電池の充放電を自動制御し、電力需要のピーク時間帯には、蓄電池の充放電の制御だけでなく、空調や照明、エレベーターに供給する電力を制御する。こうして、発電量予測に合わせて電力消費量を極力抑えるシステムを構築する。

図 大みか別館に設置した実証試験用機器の構成

図 大みか別館に設置した実証試験用機器の構成

出所 日立パワーソリューションズ

実証試験では、システムで蓄電池の充放電や空調、照明などの消費電力を制御することで、年間の買電量30%削減を目指す。そして、実証試験で得られる結果や知見を活かして、出力50kW以上の太陽光発電設備の設置が可能なオフィスビルや商業施設などの建物に、自家消費向け太陽光発電設備の新規導入を推進するとしている。


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日立パワーソリューションズ

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