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SUBARUの研究実験センターに大規模蓄電池、落雷などによる瞬時電圧低下の影響吸収を目的に運転開始

2017/04/12
(水)
SmartGridニューズレター編集部

東京電力エナジーパートナーと、日本ファシリティ・ソリューションは、SUBARUの研究実験センターにリチウムイオン蓄電池を設置し、運用を開始したと発表した。

東京電力エナジーパートナーと、その100%子会社である日本ファシリティ・ソリューションは2017年4月11日、SUBARUの研究実験センター(栃木県佐野市)に大規模なリチウムイオン蓄電池を設置し、運用を開始したと発表した。設置したリチウムイオン蓄電池は最大出力が4800kWで、蓄電容量が1747.2kWh。東芝の「SCiB」を採用した。

大規模蓄電池を設置した最大の目的は、送電線などに落雷したときに発生する「瞬時電圧低下」の影響を吸収することにある。瞬時電圧低下が発生すると、電気機器が停止してしまうことがある。SUBARU研究実験センターでは、車両の性能試験などを実施しているが、試験中に瞬時電圧低下が発生すると、機器が停止して試験が中断となってしまう可能性もあった。今後は、瞬時電圧低下発生時は大規模リチウムイオン蓄電池に蓄電しておいた電力を放出することで、その影響が研究実験センター内に及ばなくなる。瞬時電圧低下の対策に大規模リチウムイオン蓄電池を利用する例は、これが国内初となる。

図 SUBARUの研究実験センターに設置した大規模リチウムイオン蓄電池

図 SUBARUの研究実験センターに設置した大規模リチウムイオン蓄電池

出所 東京電力エナジーパートナー

また、同時にSUBARUの研究実験センターにはディーゼル発電機も設置した。ただしこれは2019年半ばまでの暫定的な設備だ。2019年半ばごろにSUBARU研究実験センターに6万Vの「特別高圧」の送電線が届く予定となっており、受電設備もその時期に完成する予定だ。特別高圧で受電できるようになれば、使用できる電力にも余裕ができるが、現在のSUBARU研究実験センターでは、ときに現在契約中の電力では電力が不足することがあるという。ある程度長い時間、限界を超える量の電力を使用するときは、ディーゼル発電機で発電して電力を賄う予定となっている。

特別高圧の送電線が届いて、受電が始まったら、ディーゼル発電機は撤去する予定。大規模リチウムイオン蓄電池はそのまま残して、最大電力の上昇を抑える(ピークカット)用途でも利用する予定になっている。


■リンク
SUBARU
東京電力エナジーパートナー
日本ファシリティ・ソリューション

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