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下水汚泥をキレイに燃やしながら発電、JFEエンジニアリングらが川崎市で実証へ

2017/05/02
(火)
SmartGridニューズレター編集部

JFEエンジニアリング、日本下水道事業団、川崎市の3者は、共同で提案した下水汚泥技術について実証運転を実施すると発表した。

JFEエンジニアリング、地方共同法人日本下水道事業団、川崎市の3者は2017年4月27日、共同で提案した下水汚泥技術について実証運転を実施すると発表した。国土交通省が募集した「下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)」の2017年度分として採択を受けて実施する。下水道革新的技術実証事業は、下水道事業のコスト削減や再生可能エネルギーとしての活用などを目指して公募している事業だ。

実証の場は川崎市上下水道局の「入江崎総合スラッジセンター」(川崎区塩浜)。現在は汚泥焼却時に発生する熱を同じ建物の4階にある温水プールの熱源として利用している。ここに汚泥を効率良く燃焼させるための設備と、発電設備を設置する。

下水汚泥は窒素化合物を多く含んでおり、そのまま燃焼させると一酸化二窒素(N2O)が発生する。N2OはCO2と比較しておよそ300倍もの温室効果をもたらすガスであり、CO2以上に排出量に気を遣うものだ。

この問題に対応するために、JFEエンジニアリングと川崎市は「局所撹拌空気吹込み技術」を共同で研究している。この技術は汚泥を燃焼させる焼却炉の2カ所から空気を吹き込んで下水汚泥を勢い良く燃焼させることでN2Oの発生を抑えるというものだ。現在JFEエンジニアリングと川崎市が研究している技術を利用すると、普通に燃焼させる場合に比べて、N2O発生量を半分に抑えられるという。後の技術を利用するために必要な設備を入江崎総合スラッジセンターに設置し、その効果を実証する。川崎市はこの技術を利用することで、温室効果ガスをCO2換算で年間最大3200トン削減できると見積もっている。

加えて、焼却炉で発生した熱を利用した発電設備を取り付ける。焼却炉で発生した熱を利用して水蒸気を作り、タービンを回転させて発電する装置だ。下水汚泥は水分が多く、燃焼させても発電に利用することは難しいというのが従来の定説だった。JFEエンジニアリングは独自開発の小型高効率タービンを入江崎総合スラッジセンターに投入する。さらに、タービンを回転させた水蒸気を水に戻す冷却過程で下水処理水を活用する。

JFEエンジニアリングはこの技術を活用すれば国内の平均的な規模(1日におよそ100トンを処理)の汚泥焼却設備でも、高い効率で発電できるとしている。川崎市は、この発電技術を導入することで、年間におよそ4.8GWh(480万kWh)の電力を得られると考えている。そして、1系列の焼却設備が年間に消費する電力量をまかなえるとしている。ちなみに、資源エネルギー庁が試算した一般世帯の年間電力消費量は、3600kWh。この数字を当てはめると、約1333世帯分の年間消費量に相当する電力を発電できることになる。

図 赤い破線で囲んだ部分が、今回JFEエンジニアリング、日本下水道事業団、川崎市が入江崎総合スラッジセンターに投入する設備

図 赤い破線で囲んだ部分が、今回JFEエンジニアリング、日本下水道事業団、川崎市が入江崎総合スラッジセンターに投入する設備

出所 JFEエンジニアリング

今回の実証に参加する3者は、入江崎総合スラッジセンターで投入した技術を運用して、3者共同で提案した技術が有効であることを国内外に広くアピールし、技術の普及拡大を目指すとしている。


■リンク
JFEエンジニアリング
地方共同法人日本下水道事業団
川崎市

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