[ニュース]

2017年第1四半期、アメリカでは過去最高ペースで風力発電の導入が進むー立地地域に良い影響も

2017/05/08
(月)
SmartGridニューズレター編集部

American Wind Energy Associationは、2017年第1四半期の風力発電設備の導入量が、2009年以来の高い値になったと発表した。

American Wind Energy Association(AWEA:アメリカ風力エネルギー協会)は2017年5月2日(現地時間)、2017年第1四半期のアメリカにおける風力発電設備の導入量は、2009年以来の高い値になったと発表した。発電設備の数は908に上り、合計出力はおよそ2000MW(200万kW)に達するという。2017年第1四半期の導入量だけで、2016年の第1~第3四半期の導入量を超えるともしている。

2017年第1四半期に導入となった風力発電設備は、40年以上に渡る安定した雇用を創出する。AWEAは、2017年第1四半期に導入となった風力発電設備によって、全米でおよそ4万の雇用が発生すると見ている。

AWEAは風力発電設備の建設が速いペースで続いている理由の1つとして、再生可能電力生産税控除(Renewable Electricity Production Tax Credit:PTC)を挙げている。再生可能エネルギーを利用した発電事業を手がける企業に対して、法人税を減税する制度だ。これまで風力発電はPTCの対象になると、発電設備の新設が続き、対象外になると新設件数が伸び悩むという歴史を繰り返してきた。現在のところ、アメリカ・エネルギー省は風力発電を2019年までPTCの対象としている。今後数年は好調を期待できそうだ。

風力発電設備の建設が続いた結果、全米各州で風力発電所の稼働が始まっている。中でも設備の数が多いのがテキサス州だ。テキサス州に設置してある風力発電設備の出力を合計するとおよそ21GW(2100万kW)となる。これは全米50州の中でも第1位となる値だ。テキサス州の風力発電設備は、アメリカの一般世帯の年間電力消費量にして500万世帯分以上の電力を産み出し続けているという。米国エネルギー省(Department of Energy:DOE)エネルギー情報局(Energy Information Administration:EIA)の調べによると、アメリカの一般世帯の平均年間電力消費量は1万812kWh。この値を当てはめると、年間で54.06TWh(540億6000万kWh)の電力を作っていることになる。

風力発電設備建設の波は、普及がほとんど進んでいない州にも届いている。ノースカロライナ州は全米50州の中でも風力発電設備による発電量が41番目となっていたが、2015年7月にAmazon Web Servicesが、ノースカロライナ州北東部にあるエリザベスシティという町の近くに巨大な風力発電所「Amazon Wind Farm US East」を建設すると決めた。104基の風力発電機を設置して、合計出力を208MW(20万8000kW)とする計画だ。年間発電量は670GWh(6億7000万kWh)にも達する。ノースカロライナ州にとっては初めての「風力発電所」と呼べる発電施設だ。この発電所は2017年2月に完成し、商業運転を始めている。

図 Amazon Web Servicesの「Amazon Wind Farm US East」

図 Amazon Web Servicesの「Amazon Wind Farm US East」

出所 American Wind Energy Association

この発電所は広大な敷地を賃借して建設し、発電事業を続けている。土地を貸しているある人物は「かつてはここでトウモロコシや大豆、麦を栽培していた。それもとても長い間だ。そして、発電所の建設が始まり土地を貸すことになって、収入が安定した。農作物を作っていたときのように、作物の価格の変動に気をもむ必要がなくなった。干ばつや洪水の心配ももはや必要ない。そして、発電所が完成してから、このあたりの道路の舗装が良くなった。風力発電所はこの周辺に向く事業だね」と風力発電所による変化を喜んでいる。AWEAはノースカロライナ州に限らず、製造業が衰退し、経済が低迷している「Rust Belt」にも風力発電所は向くとしている。使うあてのない広大な敷地があると予想できるからだ。

AWEAは風力発電による電力の需要も強いとしている。2017年第1四半期だけで、合計1781MW(178万1000kW)分の電力買取契約(Power Purchace Agreement:PPA)が成立したという。第1四半期としては2013年以来の高い値だとしている。電力会社やFortune 500に入るような大企業が好んで長期間のPPAを締結し、低コストで価格変動がない風力発電の電力を購入しているという。また、2017年第1四半期には、テキサス州の風力発電所がアメリカ陸軍とPPA契約を交わしたという事例を紹介している。軍の施設でも利用できると認められたことで、風力発電は安定した電力になったとしている。


■リンク
American Wind Energy Association

TOPに戻る

関連記事
新刊情報
 いよいよ日本でも、IoT時代に必須のLPWA(Low Power wide Area、省電力型広域無線網)サービスがスタートします。  第4次産業革命に向けて、エネルギー、ヘルスケア、製造業、...
 NIST(米国国立標準技術研究所)が2009年11月に立ち上げた委員会「SGIP」(スマートグリッド相互運用性パネル)は、2013年にSGIP 2.0となり、新たな活動を展開している。  SG...
本書『IoT&スマートグリッド用語事典』は、既刊の『スマートハウス&スマートグリッド用語事典』(2012年2月発行)を大幅に改訂したものです。2011年3月11日の東日本大震災を契機に、日本では電力分...