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MIT、キャンパスのエネルギー消費を建物ごとに視覚的に「魅せる」Webサイトを開設

2017/05/09
(火)
SmartGridニューズレター編集部

マサチューセッツ工科大学は、キャンパスのエネルギー消費の推移を建物ごとに視覚的に表示するWebサイトを開設した。

アメリカ・マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology:MIT)は2017年5月7日(現地時間)、キャンパスのエネルギー消費の推移を建物ごとに視覚的に表示するWebサイト「Energize_MIT」を開設した。

Energize_MITは、MITの学生や教職員に向けたものだが、MITと関係がない人でもアクセスできる。ただし、MITが蓄積してきた数値データのダウンロードなど、ユーザー認証が必要な部分もある。そして、その部分はMIT関係者のみに向けたものとなっている。

Energize_MITで計測値を表示する方法は主に2種類。1つ目はキャンパス全体の温室効果ガス(Greenhouse Gas:GHG)排出量とエネルギー消費量の推移を棒グラフで表示するというもの。年単位の推移と月単位の推移を見ることができる。2つ目はキャンパスの建物ごとに、エネルギー消費量やGHG排出量を表示する方法。冷水、電力、蒸気の使用量を表示することも可能だ。このほかにも、さまざまな計測値の推移を折れ線グラフで表示する機能などもあるので、ぜひ試していただきたい。

図 建物ごとのGHG排出量を表示したところ。左側に建物の番号と排出量を表示し、右側にはキャンパスの地図を表示し、それぞれの建物を排出量ごとに色分け表示している。建物にマウスポインタを合わせると、詳細を表示する

図 建物ごとのGHG排出量を表示したところ。左側に建物の番号と排出量を表示し、右側にはキャンパスの地図を表示し、それぞれの建物を排出量ごとに色分け表示している。建物にマウスポインタを合わせると、詳細を表示する

出所 Massachusetts Institute of Technology

MITはこのサイトを作った最大の理由として、現学長のL. Rafael Reif博士と大学幹部が2015年10月に策定した気候変動に対する行動計画にあるという。2030年までにGHG排出量を2014年比で32%削減するという目標を掲げ、そのためにすべきことをまとめたものだ。そして、その行動計画に従ってできたのがEnergize_MITだ。行動計画に、「キャンパスのエネルギー消費状況を示す、オープンなデータ基盤構築」が具体的な案として入っていたからだ。エネルギー消費状況を大学関係者が確認できるようになれば、気候変動に対する行動計画に向けて、職員や教員が何をすべきかを考える助けとなり、エネルギーの使い方について決断しなければならなくなったときに、決断の根拠となるとしている。

また、Energize_MITには世界最高峰の工科大学らしい狙いもある。学生や教授、研究者にデータを提供して、さまざまな研究の材料としてもらおうという狙いだ。その研究から、GHG排出量を抑える技術や、エネルギーの効率の良い使い方に関する革新的な理論など、一般人の生活に貢献する技術が生まれるかもしれない。MITはこれまでに、87人ものノーベル賞受賞者を輩出してきた名門だ。大いに期待できるだろう。

とはいえEnergize_MITは、まだベータ版という扱いで、提示するデータはまだ完全なものではないとしている。特に建物単位の数字には正確でないものが入っている可能性があるとしている。その理由として、建物によって備わっている計測機器がバラバラである点を挙げている。そのため、計測機器が備わっていない建物については、計算による推測値を表示するようにしているという。

Energize_MITはベータ版としてスタートラインに立ったところだ。これからさまざまな機能を追加する計画が浮上している。まず、メインキャンパス内の建物だけでなく、MITがキャンパス周囲で借りている建物のエネルギー消費量を表示する計画が挙がっている。さらに、MITが電力買い取り契約(Power Purchase Agreement:PPA)を締結したノースカロライナ州の太陽光発電所の発電量の推移も表示させる計画もある。将来はエネルギーだけでなく、水の消費量やゴミの発生量を表示させようという声もあるという。Energize_MITの開発運営者は、このWebサイトに実装する機能のアイデアを学校関係者から広く募っている。


■リンク
Massachusetts Institute of Technology

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