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三井造船、日本初の「機械式波力発電装置」の実証実験を開始

2017/05/11
(木)
SmartGridニューズレター編集部

三井造船は、日本で初となる機械式波力発電装置の実証実験を開始したと発表した。

三井造船は2017年5月10日、日本で初となる機械式波力発電装置の実証実験を開始したと発表した。発電装置は東京伊豆七島の神津島の北およそ800mの沖合に設置した。この地点の水深はおよそ32mだという。実験期間は2017年夏頃まで。

図 稼働を始めた機械式波力発電装置

図 稼働を始めた機械式波力発電装置

出所 三井造船

機械式波力発電装置は、その名の通り波の動きを機械的に回転運動に変換して発電器を回し、発電する。波を受けると波の上下動に合わせて発電器が備える「フロート」と呼ぶそろばんの珠を大きくしたような「浮き」が上下動する。フロートの上部には「ブリッジ」という金具が、ブリッジ上部には発電器中心を貫く「ロッド」が固定してある。ブリッジとロッドはフロートに合わせて上下動する。

発電装置下部には「スパー」と呼ぶ筒があり、これは海底に固定してあるので、フローとに合わせて上下動することはない。ロッド先端は「ラック」と呼ぶ歯が切ってあり、スパーに設置してある「ピニオンギア」に接触している。ロッドが上下動することで、ピニオンギアが回転する仕掛けになっているのだ。ピニオンギアには発電器がつながっており、回転力を利用して発電する。

図 機械式波力発電装置の模式図

図 機械式波力発電装置の模式図

出所 三井造船

三井造船は2008年から機械式波力発電の研究を開始し、ようやく実証実験までこぎつけたという。欧米で実証実験を実施し、基本性能を向上させ、日本の海特有の事情に合わせた工夫を取り入れたものを今回は設置したという。日本の海は欧米の海に比べると波が穏やかであることから、小さい波も拾って回転エネルギーにする技術を投入したという。

今回設置した発電装置は最大出力が3kWで、実験期間中の平均出力は600W程度と想定しているという。発電した電力量は逐次記録し、発電状況を観察する。発電した電力は発電装置の各種計器類、通信機器で消費するほか、搭載している蓄電容量20kWhのリチウムイオン蓄電池に充電する。電力系統には接続しない。

実験では、発電装置の運転制御方法の評価、台風などの荒天時の耐久力などさまざまな項目を評価するとしている。ちなみにこの実証実験は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と、2011年度から開始した「海洋エネルギー発電システム実証研究」の一環であり、発電装置の設置施工では五洋建設の、海洋観測やシミュレーションでは東京大学の協力を得ている。


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三井造船

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