ZMPは2017年5月24日、深層学習の学習用データセットとして利用できる公道走行データの提供を始めた。自動運転や運転支援システムへの深層学習の応用を試みる研究者やメーカーに向けたサービスとなる。価格は要件によって変動するので、個別見積もり。
運転支援システムや自動運転システムに、深層学習を応用する例が増えている。カメラで捉えた画像を深層学習で分析して先行車両や歩行者、信号などの物体の認識精度を上げようというものだ。
しかし、深層学習の研究はすぐに始められるものではない。学習モデルを構築して、そのモデルに学習させて認識精度を上げていく必要がある。そして、学習に使用するデータは多ければ多いほど認識精度が上がる。一般には静止画にして数万枚単位で必要という声が多い。
大量のデータを集めるには人手も時間も資金もかかり、すぐにできるものではない。さらに、学習に使うデータは、写り込んでいるものが何であるかを示す「ラベル」を付けたものでなければならない。大量のデータを揃えるだけでも苦労するのに、ラベリングまで必要となるとかなり困難な作業となる。
図 車載カメラが捉えた画像(上)と、ラベリング済みの画像(下)
出所 ZMP
ZMPが今回提供を開始するサービスは、公道を実際に走行しながら撮影した画像に、ラベリングを済ませて提供するものだ。ZMPは2012年から、公道走行時の社外環境の画像データと車両の状態(アクセルやブレーキの踏み込み具合など)を示すデータを取得するサービス「RoboTest」を提供している。今回のサービスはRoboTestで取得したデータにラベルを付けて提供するものだ。ZMPが撮影した画像にラベリングするだけでなく、依頼者が撮影した画像にラベリングするサービスにも応じる。
データ取得用車両や、その車両を運転する運転手の手配もZMPが引き受ける。データ取得後のラベリングなどの後処理まで一括で請け負うので、依頼者はほとんど手間をかける必要がないという。また、ZMPは日本国内だけでなく、海外の道路走行時のデータ収集サービスも開始するという。
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ZMP