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九州電力、風力発電設備の接続可能量に到達ー今後は無制限無補償の出力制限が新設の条件に

2017/05/30
(火)
SmartGridニューズレター編集部

九州電力は、風力発電設備の接続済み、承諾済み、申込み分を合計した出力量が、系統への接続可能量である180万kWに到達したと発表した。

九州電力は2017年5月26日、風力発電設備の接続済み、承諾済み、申込み分を合計した出力量が、同社の電力系統への接続可能量である180万kWに到達したと発表した。今後、風力発電設備を九州電力の電力系統に接続するには、無制限無補償の出力制限に応じることが条件となる。

風力発電設備の接続量が接続可能量に到達するのは北海道電力、東北電力、中国電力に続いて4社目となる。九州電力と中国電力は3月7日に、風力発電設備の接続済み量と接続申し込み量の合計が、接続可能量を超過する可能性があることから、経済産業大臣から風力発電の「指定電気事業者」の指定を受けたと発表している。中国電力はその翌日である8日に接続可能量に到達したと発表していた。

電力各社の再生可能エネルギーを利用した発電設備の接続可能量は、経済産業省 資源エネルギー庁の総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 新エネルギー小委員会 系統ワーキンググループが2016年11月に算出した値に基づいている。その後、2017年2月2日には東北電力が接続可能量に到達したと発表し、前述の通り3月8日は中国電力が接続可能量到達を発表した。北海道電力はひと足早く、2015年12月16日に風力発電設備の接続可能量を申し込み量が上回っていることを発表している。これは、2015年11月に系統ワーキンググループが算出した36万kW(2016年11月算出値も同一)を超過したためだ。

図 各電力会社の風力発電設備の接続可能量。赤枠で囲んだ数字が接続可能量を指す

図 各電力会社の風力発電設備の接続可能量。赤枠で囲んだ数字が接続可能量を指す

出所 経済産業省 資源エネルギー庁

太陽光発電については、すでに北海道電力、東北電力、北陸電力、四国電力、九州電力、沖縄電力が接続可能量に到達していることを明らかにしている(電力系統の規模が大きい東京電力パワーグリッド、中部電力、関西電力は例外)。風力発電設備の接続可能量も限界ということになると、再生可能エネルギーの普及が進まなくなってしまう恐れがある。北海道電力と東北電力は東京電力パワーグリッドに余剰電力を吸収してもらうことで、風力発電設備の接続可能量を増やす実証実験や、各地に蓄電池を設置して接続可能量を増加させる計画を打ち出している。全国的にこのような試みが広がることを期待したい。


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九州電力

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