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宅配便の荷物の自動仕分けも十分可能に、NTTデータが物流業者向けコンサルティングを開始

2017/06/02
(金)
SmartGridニューズレター編集部

NTTデータは、人工知能を活用して業務効率向上、業務変革を目指す物流業者向けに「物流業務変革コンサルティングサービス」の提供を始めた。

NTTデータは2017年5月31日、AI(Artificial Intelligence:人工知能)を活用して業務効率向上、業務変革を目指す物流業者向けに「物流業務変革コンサルティングサービス」の提供を始めた。Web通販の普及で扱い荷物数が増え、物流業者、特に宅配業者は深刻な人手不足に悩んでいる。そこで、従来は人手に任せるしかなかった業務を、AIなどの技術を利用して自動化し、物流業者の労働環境を改善することを提案するサービスだ。

NTTデータはこのサービスの提供を始めるに先立って、深層学習を応用した「物流画像判別AIエンジン」を開発している。カメラで捉えた画像から荷物の特徴を捉え、特徴に応じて分類する機能を持つ。NTTデータによると、このエンジンは荷物を最大で1000種類に分類できるという。

鈴与と佐川急便の協力を得て、物流の仕分け現場に投入し、荷物の自動仕分けにこのエンジンを活用する実証実験を実施したところ、荷物の形状、外装、大きさ、汚損や破損の有無などに応じて自動的に荷物を仕分けることに成功したという。

図 「物流画像判別AIエンジン」を利用して荷物の自動仕分けを試したところ、荷物を最大で1000種類に分類できたという

図 「物流画像判別AIエンジン」を利用して荷物の自動仕分けを試したところ、荷物を最大で1000種類に分類できたという

出所 NTTデータ

製造業の生産工程なら、流れてくるものはほとんど同じものだが、物流現場に流れてくる荷物は1つ1つがまるで別物で、その種類は膨大な数になる。そのため、従来物流の荷物仕分け業務は、人間の目視に頼るしかなかった。しかし今回、深層学習を応用した画像判別エンジンを利用した自動化に成功した。

まだ課題はあり、改善の余地もあるとはいえ、実験の結果からは、画像判別エンジンを荷物の仕分けだけでなく荷物の積み込み、積み下ろし作業時の荷物の認識や、検品・梱包作業、ドローンがとらえる画像を利用した棚卸しなどの業務にも応用できるめどが立った。そこで、画像判別エンジンを利用した実験などで得た知見やノウハウを体系化して、省力化を望む物流業者に向けたコンサルティングサービスを提供することにしたという。

コンサルティングでは、AIを活用した業務の自動化に限らず、ロボットの導入や、センサーを活用したIoTシステムの構築など、顧客現場が抱える問題に応じてさまざまな提案を出していくとしている。将来はドローンなどを自動化システムに融合させることや、物流業に限らずほかの業種でのAIの活用を提案することなどを目指すとしている。


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NTTデータ

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