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アリゾナに出力10MWの大規模蓄電池が完成、東芝のSCiBを採用

2017/06/06
(火)
SmartGridニューズレター編集部

E.ON Climate and Renewables社は、州立アリゾナ大学内に出力10MWの大規模蓄電池システムを完成させ、運転をはじめたと発表した。

アメリカE.ON Climate and Renewables社は2017年6月2日(現地時間)、州立アリゾナ大学の「Tech Park」内に出力10MWの大規模蓄電池システムを完成させ、運転をはじめたと発表した。この蓄電池システムには、出力2MWの大規模太陽光発電所も併設している。地域の電力会社であるTucson Electric Power社は、この蓄電池システムを電力系統の周波数安定化や電圧安定化に活用する予定。ちなみに、Tucson Electric Power社は40万以上の世帯に電力を届けている。

図 州立アリゾナ大学の「Tech Park」内に出力10MWの大規模蓄電池システムと太陽光発電所

図 州立アリゾナ大学の「Tech Park」内に出力10MWの大規模蓄電池システムと太陽光発電所

出所 E.ON Climate and Renewables社

蓄電池システムの設計と構築はアメリカLandis+Gyr社が担当した。同社によると蓄電池には東芝の「SCiB」を使用したという。エネルギー密度の高さ、充放電の繰り返しに対する強さ、急速充電性能を評価して選んだとしている。

E.ON Climate and Renewables社で蓄電池部門の副車長を務めるMark Frigo氏は「このような大規模な蓄電システムはTucson Electric Power社のように送電を手掛ける企業にとっては、再生可能エネルギーを効果的に電力系統に接続するのに役立つことだろう。蓄電池システムは電力系統の未来を作っていくはずだ」と述べた。

Tucson Electric Power社の電力供給部門と再生可能エネルギー部門のシニアディレクターを務めるCarmine Tilghman氏は「E.ON Climate and Renewables社は、私たちの電力系統にコスト効率が良く、安定稼働を期待できる蓄電池システムを作ってくれた。これで私たちは顧客に対してより柔軟に利用できる電力系統を提供できるだろう」とコメントした。

E.ON Climate and Renewables社は、今回の蓄電池システムを運用して得た経験を活かして、テキサス州で予定している「Texas Waves」プロジェクトに挑む。テキサス西部に同社がすでに建設している風力発電所に隣接するように大規模蓄電システムを設置する計画だ。現在建設中で、2017年の終わりまでには運転を始めるとしている。


■リンク
E.ON Climate and Renewables社
Landis+Gyr社

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