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東京電力フュエル&パワーが富津火力発電所の設備更新を一部完了、年間燃料費を8億円削減

2017/06/07
(水)
SmartGridニューズレター編集部

東京電力フュエル&パワーは、「富津火力発電所」の改良工事が一部完了したと発表した。

東京電力フュエル&パワーは2017年6月5日、同社が運営する「富津火力発電所」(千葉県富津市新富:しんとみ)の改良工事が一部完了したと発表した。富津火力発電所には液化天然ガス(Liquefied Natural Gas:LNG)を燃料とするガスタービンコンバインドサイクルの「1号系列」「2号系列」「3号系列」「4号系列」が稼働している。このうち3号系列と4号系列は運転開始がそれぞれ2003年11月と2010年10月とまだ新しい。今回の改良工事の対象は1986年11月に稼働を開始した1号系列と、1988年11月に稼働を始めた2号系列。

図 富津火力発電所の全景

図 富津火力発電所の全景

出所 東京電力フュエル&パワー

ガスタービンコンバインドサイクルの発電設備は、ガスタービンと蒸気タービンをセットにした「軸」を1つの単位として稼働させる。富津火力発電所の1号系列には6組、2号系列には7組の軸がある。今回の改良工事はガスタービンなどを交換し、発電効率の向上と出力増強を狙ったもの。2016年7月に2号系列の第1軸の交換が完了し、2017年3月には2号系列の第5軸の交換が完了している。今回は1号系列の第1軸の交換工事が完了した。

1号系列第1軸の交換が完了したことで、発電出力が165MW(16万5000kW)から167MW(16万7000kW)に向上した。従来は1100℃ほどの温度で燃料を燃焼させてタービンに投入していたが、燃焼温度が1150℃ほどに上がり、タービンに投入する圧力も上げた。これにより、発電効率が47.2%から51.4%に向上した。この結果、年間の燃料費をおよそ8億円、CO2排出量をおよそ4万トン削減できる見込みだという。

すでに交換工事を完了させている2号系列の第1軸、第5軸の場合、交換によって発電出力がそれぞれ165MW(16万5000kW)から160MW(16万kW)にやや下がったが、発電効率は上がった。1100℃ほどの温度で燃料を燃焼させてタービンに投入していたが、燃焼温度を1300℃ほどに上げ、タービンに投入する圧力も上げた。これにより、発電効率が47.2%から54.3%に大きく向上した。この効果で第1軸、第5軸それぞれで、年間の燃料費をおよそ10億円、CO2排出量をおよそ6万トン削減している。

今後は2019年8月までに、合計で10軸の交換工事を完了させていく予定となっている。交換によって2号系列は7軸すべて発電出力が165MWから160MWに変化する一方、発電効率が47.2%から54.3%に向上する。すべての軸について、年間10億円の燃料費削減(現在の燃料費を前提にした試算)と、年間6万トンのCO2排出量削減効果が期待できる。

1号系列の場合、全6軸のうち第2軸と第4軸だけ蒸気タービンの型が異なるため、交換によって得られる効果が多少異なる。第2軸と第4軸の除く4軸は、交換によって発電出力が165MWから167MWに向上し、発電効率は47.2%から51.4%に向上する。これにより4軸それぞれの軸について年間の燃料費をおよそ8億円(現在の燃料費を前提にした試算)、CO2排出量をおよそ4万トン削減できる見込みだ。

第2軸と第4軸は、発電出力が165MWから167MWに向上する点は、ほかの軸と変わらないが、発電効率の向上は47.2%から50.5%となる。この結果、それぞれの軸で年間燃料費をおよそ6億円削減できる見通しだという。CO2排出量削減効果については計算中だ。

1号系列と2号系列の改良工事がすべて完了すると、年間燃料費を合計で114億円ほど削減できる計算となる(現在の燃料費を前提にした試算)。CO2排出量削減効果については少なくとも58万トンの削減を期待できる。

東京電力フュエル&パワーは、今後も燃料費を削減する対策を打ち出していくとしている。


■リンク
東京電力フュエル&パワー

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