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ガラス製に比べて36%軽量化、GLMがEVのオプションとして樹脂製フロントウィンドウを採用

2017/06/20
(火)
SmartGridニューズレター編集部

GLMは、同社が販売している電気自動車「トミーカイラZZ」のオプションとして樹脂製のフロントウィンドウを採用すると発表した。

GLMは2017年6月19日、同社が販売している電気自動車(EV)「トミーカイラZZ」のオプションとして樹脂製のフロントウィンドウを採用すると発表した。量産車のフロントウィンドウに樹脂製を採用するのはこれが世界初のことだという。ガラスに比べて軽くて強度があるポリカーボネイト樹脂を採用することで、ガラス窓に比べて36%軽量化することが可能だという。車重の軽量化によって、航続距離も多少伸びると期待できるという。

図 GLMが開発し販売しているEV「トミーカイラZZ」

図 GLMが開発し販売しているEV「トミーカイラZZ」

出所 GLM

ポリカーボネイト樹脂のフロントウィンドウ採用のきっかけとなったのは、2017年7月1日に改正となる政府の「自動車保安基準」だ。従来はフロントウィンドウに樹脂製のものを使用することはできなかったが、改正によって樹脂製フロントウィンドウが認められた。ただし、かなり高いレベルの耐摩耗性を備えたものという条件が付いている。ゴムと素材をこすり合わせたときに、素材の摩耗度合いを2%未満にする必要があるが、従来のポリカーボネイト樹脂では5~7%となってしまい、そのままでは採用できない。そこで、帝人が新たに開発したポリカーボネイト樹脂を採用した。

従来のポリカーボネイト樹脂は、表面に均一にハードコート材料を塗り付けて耐摩耗性を高めていたが、それでは自動車のフロントウィンドウに採用するには十分ではない。そこで帝人は、さらにハードコード材料をガス化してポリカーボネイト樹脂の表面をコーティングする「プラズマCVD法」を利用して、ポリカーボネイト樹脂の耐摩耗性を0.5~1.5%とすることに成功した。これは、強化ガラス(0.5~1%)とほぼ同等の性能だ。

図 耐摩耗試験後の傷の付き方の違い。左がハードコートなしで中央が従来のハードコートを施したポリカーボネイト樹脂。右が今回帝人が開発したポリカーボネイト樹脂

図 耐摩耗試験後の傷の付き方の違い。左がハードコートなしで中央が従来のハードコートを施したポリカーボネイト樹脂。右が今回帝人が開発したポリカーボネイト樹脂

出所 帝人

また、今回GLMが採用したフロントウィンドウには、ウィンドウ左右に立っている支柱(Aピラー)がないという特徴もある。帝人が通常Aピラーがある部分に余計に厚みを持たせることで、Aピラーなしでも十分な強度を確保した。Aピラーがあるはずの部分が透明の樹脂になるので、見通しが良くなり、Aピラーの分の重量を削減できるという利点がある。元々ガラスよりも軽いポリカーボネイト樹脂を採用したことに加えて、Aピラーを廃したことで、フロントウィンドウ部分を従来比で36%軽量化できたという。軽量化により、自動車の走行性能が良くなり、航続距離も多少伸びる。

GLMは新開発のフロントウィンドウについて、公道で走るための国内認証を取得する予定だ。そして、今秋をめどに樹脂製のフロントウィンドウをトミーカイラZZのオプションとして加えることを計画している。


■リンク
GLM
帝人

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