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センサー値に応じて給水弁を遠隔操作、水田の水管理コスト50%減を目指した実証実験が始まる

2017/06/20
(火)
SmartGridニューズレター編集部

インターネットイニシアティブなど5者は、センサーやLPWA通信を活用して、水田の水管理コスト50%削減を目指した実証実験を実施すると発表した。

インターネットイニシアティブ、静岡県交通基盤部農地局、笑農和(えのわ)、トゥモローズ、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は2017年6月19日、センサーやLPWA通信を活用して、水田の水管理コスト50%削減を目指した実証実験を実施すると発表した。上記の5者が「水田水管理ICT活用コンソーシアム」を設立し、農林水産省の2016年度公募事業である「革新的技術開発・緊急展開事業(うち経営体強化プロジェクト)」に「低コストで省力的な水管理を可能とする水田センサー等の開発」というテーマで応募し、採択を受けたものだ。実証実験とその後の結果検証なども合わせた研究実施期間は2017年4月1日~2020年3月31日まで。

現在稲作農家の間では、水田に流す水の管理作業にかかる労働負荷の大きさが問題となっているが、センサーなどを使って水の管理を省力化するには、機器や通信費に大きなコストがかかってしまうので、なかなか導入できない。そこで今回の実証実験では、機器の導入コストと運用コストをなるべく抑え、農業従事者が容易に導入できるシステムを開発した。

今回の実証実験で使用する主な機器は3つ。1つ目は水田の水位と水温を検知する「水田センサー」。無線通信で計測値を送信する機能を持つ。2つ目は「自動給水弁」。センサーと同じく無線通信機能を備えており、遠隔操作で弁の開閉を制御でき、電池で駆動する。3つ目は水田センサーや自動給水弁と無線で通信する「ネットワーク・通信基地局」。通信方式にはLPWAの1種であるLoRaWANを採用した。

図 実証実験で使用する機器の構成

図 実証実験で使用する機器の構成

出所 インターネットイニシアティブ

さらに、機器を制御するソフトウェアやサービスも用意する。水田センサーからのデータ収集や、自動給水弁の制御にはインターネットイニシアティブが提供する「IIJ IoTサービス」を利用する。また、通信機器や基地局の集中管理にはインターネットイニシアティブの管理サービス「SACM(Service Adapter Control Manager)」を利用する。

加えて、水位や水温のデータの水位をグラフなどの形で表示するソフトウェアを開発する。これには、笑農輪が提供している水田向け水位調整サービス「paditch」を応用し、地図情報を重ねて情報を表示するなど、直感的に操作法を理解できるものの開発を目指すとしている。このソフトウェアが表示する水位や水温の推移をタブレットやPCで確認し、必要に応じてソフトウェア上の操作で遠隔地から自動給水弁を開けたり閉めたりすることを可能にする。これで、水位や水温を目視で確認しに行く必要もなくなり、給水弁の操作のために弁がある場所まで足を運ぶ必要もなくなる。

実証実験は静岡県磐田市と袋井市の農業経営体で実施する。実施前に、水管理についての要望や現状かかっているコストの大きさなどを調査し、システムを導入して稼働させて稼働前後の数値を比較して効果を検証する。農業経営体が現実としてどこまでの機能を必要としているのかといったことや、センサーや基地局の最適な配置、節水効果も含めた水管理コスト削減効果を明らかにする。

実証実験完了後は、このシステムをサービスとして提供するために研究開発を進めるという。そのために、水田センサーと自動給水弁は開発開始前から想定価格を提示している。水田センサーは量産時の販売価格として1万円以下、自動給水弁は同じく4万円以下となることを想定しているという。


■リンク
インターネットイニシアティブ
静岡県交通基盤部農地局
笑農和
トゥモローズ
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構

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