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日立システムズ、話し声から精神的不調の度合いを検知するクラウドサービスを提供開始

2017/06/28
(水)
SmartGridニューズレター編集部

日立システムズは、人間の話し声から精神的不調を検知するクラウドサービスの販売を開始した。

日立システムズは2017年6月27日、人間の話し声から精神的不調を検知するクラウドサービス「音声こころ分析サービス」の販売を開始した。文を読み上げる声の変化をクラウドで分析して、精神的不調の度合いを客観的尺度で示すシステムだ。利用価格は1ユーザー当たり月額300円(税別)から。100ユーザーから契約可能。別途初期費用が必要。

サービス残業の常態化や、厳しいノルマなど、強いストレスを受けながら働いている会社員は決して少なくない。そして恒常的にストレスを受け続けると精神的に不調をきたし、うつ病やパニック障害などの気分障害を発症し、長期休職を余儀なくされる例も多い。長期求職でメンバーが離脱すると、残るメンバーに掛かる負担がさらに重くなり、受けるストレスもさらに強くなる。企業にとって、社員の適切なストレス管理は、働きやすい環境を作る上で欠かせない課題となっている。2015年12月に改正となった「労働安全衛生法」では企業に対して、社員全員のストレスチェックを年に1回実施することを義務付けている。

しかし、筆記回答や短時間の問診、面談だけではあいまいな回答でやり過ごしたり、嘘の回答でチェックをすり抜ける例も多い。そこで日立システムズは人間が自分自身ではコントロールできない変化(不随意反応)を声から読み取って、精神的な変調を検知するサービスを開発した。チェック対象者は固定電話や携帯電話の音声通信、あるいはスマートフォンの専用アプリケーションを利用して指示通りの文を読み上げる。音声データを受信したクラウドでは、そのデータを分析し、不調の度合いを数値化して診断結果として管理者などに通知する。

図 「音声こころ分析サービス」の処理の流れ

図 「音声こころ分析サービス」の処理の流れ

出所 日立システムズ

クラウド側で音声データを分析する際にはPST株式会社が開発した独自技術「MIMOSYS(Mind Monitoring System)」を利用する。この技術は人間がストレスと感じたときに現れる不随意反応を検知するものだ。人間がストレスを感じると大脳の中でも感情や記憶、自律神経活動に深く関与している大脳辺縁系が身体の各部につながる神経群に信号を送る。声帯は大脳辺縁系と反回神経を経由してつながっており、大脳辺縁系の変化によって声帯にも不随意反応が現れる。簡単な例を挙げると緊張すると声帯も緊張し、声の周波数が高くなる。MIMOSYSは文を読み上げている声を分析して、このような不随意反応を検知し、数値化する。

図 大脳辺縁系の変化は反回神経でつながっている声帯にも現れる

図 大脳辺縁系の変化は反回神経でつながっている声帯にも現れる

出所 日立システムズ

分析結果は、発話時点の精神状態と、長期的な精神状態の傾向の2つの形で提示する。発話時点の結果が悪い場合は、短期的な疲労などが考えられるので、睡眠や休息を取るように指示できる。長期的な傾向が悪い場合は職場環境や職務内容の見直しなどで負担を軽減して様子を見たり、専門医の精密な診察を受けさせるなどの対策を打てる。

図 「音声こころ分析サービス」は分析結果を短期的なもの(左)と長期的なもの(右)に分けて提示する

図 「音声こころ分析サービス」は分析結果を短期的なもの(左)と長期的なもの(右)に分けて提示する

出所 日立システムズ

日立システムズは発売前の試行導入を実施しており、利用者を対象にアンケート調査を実施し、毎日チェックを受けることで健康に対する意識や行動が変化したという回答や、日々の精神状態を仲間と伝えあうことでコミュニケーションが活性化したなどの回答を得られたという。

7月以降は日立システムズ社内でもこのサービスの利用を始めるほか、鎌倉市も職員の精神的健康維持のためにこのサービスを導入するという。さらに、新六本木クリニック(一般内科・心療内科・精神科)が、患者の日々の精神状態の変化を把握するためにこのサービスを導入することが決まっている。

日立システムズは企業、教育機関、介護施設、医療機関、住民サービス向上を目指す自治体などに向けてこのサービスの拡販を進める姿勢を見せている。


■リンク
日立システムズ

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