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アメリカのクレムソン大学が大規模蓄電池を導入、ピークカットだけでなく教育にも活用

2017/06/30
(金)
SmartGridニューズレター編集部

アメリカJohnson Controls社は、クレムソン大学に大規模リチウムイオン蓄電池を納入したと発表した。

アメリカJohnson Controls社は2017年6月28日(現地時間)、クレムソン大学(Clemson University)に大規模リチウムイオン蓄電池を納入したと発表した。クレムソン大学はサウスカロライナ州西部に本部を置く公立大学。蓄電池は大学院生向けにサウスカロライナ州の大西洋沿岸近くに建設した研究施設「Zucker Family Graduate Education Center」に設置した。

図 クレムソン大学の研究施設「Zucker Family Graduate Education Center」

図 クレムソン大学の研究施設「Zucker Family Graduate Education Center」

出所 Clemson University

Zucker Family Graduate Education Centerではすでに、Johnson Controls社のビル管理システム「Metasys」が稼働しており、新設の蓄電池もこの管理システムにつながり、システムの制御を受ける。施設内で大きな電力需要が発生したときはMetasysが蓄電池を制御して、蓄電池に充電した電力を放電し、電力系統からの受電量を最小限に抑える。施設内の環境を快適な状態に維持しながら、電力コストを削減することが可能になる。Johnson Controls社が今回納入した蓄電池は出力50kWで、蓄電容量160kWhのものだ。

またクレムソン大学が蓄電池をコスト削減の道具としてだけでなく、学生の教材としても活用する方針を示している。Johnson Controls社によると、大規模蓄電池の市場規模は2020年までにアメリカ国内だけでもおよそ180億ドル(2兆160億円:1ドル=112円で換算)まで成長するという。市場が大きく成長すれば、蓄電池を正しく扱える技術者が大量に必要になるのは明らかだ。クレムソン大学はその次代を見据えて、将来の蓄電池産業を支える人材を育成しようというわけだ。

Zucker Family Graduate Education Centerで学ぶ学生は、実際に稼働している蓄電池の稼動状態を示すデータや、節電効果を示すデータなどを取得して効率の良い蓄電池の使い方などについて研究することができる。

サウスカロライナ州をサービス地域としている電力事業者Duke Energy社でスマートグリッドの研究を統括しており、クレムソン大学で教授も務めるJohan Enslin博士は、「先進的な電力サービスや強靭な電力系統ネットワーク、電力系統を守るためのセキュリティ技術など、蓄電池技術の進化が関係する分野は多い」と語り、今回導入した蓄電池を教材として利用することを評価している。


■リンク
Johnson Controls社

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