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太陽光で充電して800km走るEV、オランダの大学発ベンチャーが2019年に発売へ

2017/07/04
(火)
SmartGridニューズレター編集部

オランダLightyear社は、同社としては初めての市販向け電気自動車の生産を2019年に開始し、同年に発売すると発表した。

オランダLightyear社は2016年6月29日、同社としては初めての市販向け電気自動車(EV)「Lightyear One」の生産を2019年に開始し、同年に発売すると発表した。数量限定で生産し、価格は税別で11万9000ユーロ(1523万2000円:1ユーロ=128円で換算)から。予約受付も開始した。

図 発表と同時に公開となった「Lightyear One」のイメージ

図 発表と同時に公開となった「Lightyear One」のイメージ

出所 Lightyear社

Lightyear社はアイントホーフェン工科大学で太陽光で発電した電力で走る自動車の研究に取り組んでいた卒業生が集まって設立した企業。メンバーは研究で試作した車両で「World Solar Challenge」に出走し、2013年と2015年に優勝している。

しかし、今回発表した「Lightyear One」はそのような研究車両でもなく、レース用車両でもない。一般の公道を走行できる4輪駆動の乗用車だ。大容量の蓄電池を搭載しており、満充電状態でおよそ800kmもの長距離を走行できるという高性能車だ。

図 「Lightyear One」の車両後部のイメージ

図 「Lightyear One」の車両後部のイメージ

出所 Lightyear社

さらにLightyear Oneには、車両表面に太陽光発電セルを搭載し、そのセルで発電した電力を内蔵に蓄電池に充電して走行できるというほかのEVにはない特徴がある。アメリカやヨーロッパ南部など、日中に太陽光発電セルが十分に発電し、蓄電池に充電できる地域では、およそ1カ月間もの長い間、外部電源から充電することなく走り続けることができるという。

図 「Lightyear One」の車両後部を上から捉えたイメージ。車両後端近くまで太陽光発電セルが並んでいるのが分かる

図 「Lightyear One」の車両後部を上から捉えたイメージ。車両後端近くまで太陽光発電セルが並んでいるのが分かる

出所 Lightyear社

アメリカや南ヨーロッパほど日照時間に恵まれない地域でも、家庭用電源から充電することで走行できる。電気自動車専用充電ステーションは必要ないという。

太陽光で充電した電力でおよそ1カ月間も走り続けられるとなると、太陽光発電セルにも、内蔵蓄電池にもかなり性能が高いものを採用していると考えられる。あるいは同社が独自開発した充電機構や太陽光発電セルを採用するという可能性もある。しかし同社はLightyear Oneの最終的なデザインや仕様などの細部については2018年の初旬に発表するとしている。そして、車両の出荷は2019年にEU圏内とアメリカで始める予定だ。


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Lightyear社

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