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岩谷産業が岡山に水素ステーション建設へ、工場で組み立てて搬入する方式で建設コスト圧縮

2017/07/12
(水)
SmartGridニューズレター編集部

岩谷産業は、岡山県岡山市に水素ステーション「イワタニ水素ステーション 岡山南(仮称)」を建設すると発表した。

岩谷産業は2017年7月10日、岡山県岡山市に水素ステーション「イワタニ水素ステーション 岡山南(仮称)」を建設すると発表した。2017年末に建設を開始して、2017年度中に完成の予定。完成したら岡山県内初の水素ステーションになるという。

今回の建設工事では、機器設置スペースの節約と建設コスト圧縮を狙って、新しい方式を採用する。従来は圧縮機やディスペンサーなどの機器を個々に搬入して、現場で設備をつなぎ合わせていたが、今回は水素ステーションを構成する主な機器をまとめて「ユニット」とし、工場でユニットの組立まで完了させて現地に搬入する方式を採用する。建設工事現場と比較して精密な組立作業が可能な工場で、ほとんどの組立作業を済ませることで、主要な機器をまとめたユニットを小さくまとめることができ、機器設置面積を削減できるという。

図 破線で囲んだ部分が水素ステーションを構成する主要な機器。今回はこの部分を1つのユニットとして、工場でまとめて組み立ててから搬入する

図 破線で囲んだ部分が水素ステーションを構成する主要な機器。今回はこの部分を1つのユニットとして、工場でまとめて組み立ててから搬入する

出所 岩谷産業

ユニットを搬入してからの工事はユニットを設置すればほとんど完了となるので、建設現場での作業量は大幅に減少する。結果として現地の建設工事にかかるコストを圧縮できる。岩谷産業は今回の建設方式が、今後土地面積の制約が厳しい都市部に水素ステーションを建設するときに役に立つと考えている。また、地方都市へ展開していく際にも、今回の方式を採用して、建設コストを削りながら早期の営業開始を目指すとしている。

イワタニ水素ステーション 岡山南(仮称)の建設予定地は岡山県岡山市南区藤田。敷地面積はおよそ834m2。水素はほかの拠点で生産して、「カードル」に圧入して搬入する方式を採る。水素供給能力は1時間当たり150Nm3。燃料電池車3台に水素を満充填できる量だ。車両への水素充填圧力は82MPa。トヨタ自動車の「MIRAI」や、本田技研工業の「CLARITY FUEL CELL」に対応できる圧力となっている。車両に水素を充填するディスペンサーは1基だけ設置する予定。

岩谷産業はこれまでに、日本全国22カ所に水素ステーションを開設してきた。ようやく水素ステーションのネットワークが「線」でつながり始めたと考えているという。今後も水素ステーションの整備を進めて、ネットワークを広く、太くしていく方針を打ち出している。


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岩谷産業

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