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サッポロビール、ワイン用ぶどう園にセンサーを活用した栽培支援システムを導入

2017/07/14
(金)
SmartGridニューズレター編集部

PSソリューションズは、サッポロビールが栽培支援システム「e-kakashi」を導入したと発表した。

PSソリューションズは2017年7月13日、サッポロビール傘下のサッポロ安曇野池田ヴィンヤード株式会社が栽培支援システム「e-kakashi」を導入したと発表した。サッポロ安曇野池田ヴィンヤードはワイン用のぶどう栽培を手がける企業で、サッポロビールが開設したぶどう園でぶどう栽培に取り組んでいる。収穫したぶどうは、サッポロビール自身が製造販売するワインの原料となる。サッポロビールがより高品質なワインを提供するために、原料となるぶどうの品質を高めることを目的として栽培支援システム導入を決めた。

e-kakashiは、圃場(ほじょう)に設置したセンサーで気温、相対湿度、地温、水温、土壌体積含水率、土壌のEC値(Electric Conductivity:電気伝導率)、日射量、CO2濃度といった値を検出し、その値を植物生理学に基づく手法で分析し、環境変化に対する対処法をアドバイスするシステム。ただ検出値の推移をグラフで提示するだけでなく、変化を検知し、栽培担当者が次にすべきことをアドバイスする点が特徴だ。

図 ぶどう園にe-kakashiのセンサーを設置したところ。センサーは白い箱から伸びるケーブルの先にある

図 ぶどう園にe-kakashiのセンサーを設置したところ。センサーは白い箱から伸びるケーブルの先にある

出所 PSソリューションズ

使い方はそれほど難しいものではない。土壌や水路などに配置するセンサーは、ケーブルで「センサーノード」という白い箱に接続する。センサーノードは920MHz帯の無線通信機能(IEEE802.15.4g/e準拠)を備えているので、無線通信で「ゲートウェイ」にセンサーの検出値を送信する。ゲートウェイは携帯電話の3G/4G通信機能を備えており、センサーノードからやって来たデータを、3G/4G通信でPSSソリューションズが運営するクラウドに送信する。植物生理学に基づく分析などの処理はクラウドで実施する。分析結果はタブレットやPCでクラウドにアクセスすることで確認できる。

今回はサッポロビールがこれまでぶどう栽培で得た知見を反映するパラメーターを設定した。同社の栽培技術を考慮したデータ分析が可能になる。さらに、栽培技術を改良していくと、その内容が経験や勘といった形でなく数値データで残るので、技術を伝えやすく、再現しやすくなる。PSソリューションズは今後、農業情報工学分野の専門家で構成する自社研究開発チームによるデータ分析などの形でサッポロビールを支援していくという。

日本の農業の大きな問題点の1つとして、経験と勘に頼る場面が多いという点が挙げられる。経験と勘は簡単に後進や仲間に伝えられるものではない。長い時間をかけて経験を積み、勘を身に付けなければならない。農業従事者の高齢化と、後継者不足も問題になっているが、経験と勘に頼っているうちは後継者不足の問題は解決できるはずがない。サッポロビールの今回の挑戦が成功し、データに基づく科学的な農業を取り入れようと考える農業従事者の良いサンプルになれば、日本の農業は大きく変わっていくかもしれない。


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PSソリューションズ

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